【独自取材】西日本豪雨で荷主企業の物流コストが膨張

【独自取材】西日本豪雨で荷主企業の物流コストが膨張

運賃は相場比2倍と業績影響を懸念する見方も

 今夏に相次いだ西日本の自然災害は社会インフラの損壊、JR貨物山陽線の長期運休など物流業界にも大きな影響をもたらした。

 貨物鉄道輸送が滞ったことでトラックによる代行輸送の措置が取られたものの、これに伴い西日本向けを中心にトラック需給は逼迫した。その後、JR貨物山陽線が10月13日付で運転を再開。物流業界筋によると11月いっぱいで自然災害による現場混乱は収束したと伝えられる。

 その一方で、この間にトラックの確保や大幅なコストアップに悩まされた荷主企業も少なくないようだ。特に食品や日用品など消費者生活に欠かせない高回転貨物、人の健康に関わる医薬品では供給責任の観点からメーカーが独自にトラックをチャーター。ドライバー不足による品薄下での車両確保は容易ではなく、相当の割増料金を払って手配にこぎ着けたケースも少なくないという。

 物流業界関係者は「ざっくり言うと首都圏から九州までの運賃単価は10トン車で15万円。あの時期に車両を走らせた荷主企業は平均相場から1.5~2倍の運賃を提示したと聞く。自然災害の影響が4カ月続いたことを考えればかなりの持ち出しが発生したのではないか」と指摘する。この数字を基にすると1台当たりの単価は30万円前後に跳ね上がった計算だ。

 あるメーカー関係者は自然災害が業績面に響くことを懸念する。「今夏は記録的な猛暑と見込んで飲料やアイスクリームなどの冷凍・冷蔵食品に期待していた。しかし相次ぐ自然災害で出荷が鈍り輸送費はかさんだ。今期は物流コストの増加が業績を下押しするだろう」と厳しい見方を示している。

(鳥羽俊一)

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