ビジネス書評・本棚からひとつかみ『カルピスをつくった男 三島海雲』

ビジネス書評・本棚からひとつかみ『カルピスをつくった男 三島海雲』

(山川 徹著・小学館)

 誕生から来年で100年を迎える国民的飲料カルピス。その圧倒的な知名度とは裏腹に、あまり表に出ない生みの親の数奇な人生に光を当てた貴重なドキュメント。若いころ、成功を夢見て渡った中国に渡った際、モンゴルの草原で出会った遊牧民手作りの乳製品に感動、日本で試行錯誤の末、商品化に成功した。会社の売り上げより国民の幸福を重視する「国利民福」を説く真面目さと、「初恋の味」というセンセーショナルなコピーを考案する独創性が共存していたことに驚く。現代でも通用しそうな革新性に脱帽。(1600円)

(藤原秀行)

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