アスクル、生物の進化を模したアルゴリズムで在庫配置最適化

アスクル、生物の進化を模したアルゴリズムで在庫配置最適化

電気通信大など協力、22年7月までにシステム開発目指す

アスクル、電気通信大学、タイムインターメディアは12月1日、生物の進化などを模した最適化手法「進化計算(遺伝的アルゴリズム)」を用いて、物流センターの在庫配置最適化アルゴリズム開発のための実証実験を全国8カ所で開始すると発表した。アスクルと電気通信大学が在庫配置に関する最適化アルゴリズムを研究開発し、タイムインターメディアはアルゴリズムの高速化に取り組む。

今回の実証実験は、アスクルが全国に物流センターを構えて在庫配置していることで、1つのオーダーにつき複数の物流センターからの出荷による荷物の個口別れが発生するのを避けるのが狙い。期間は来年3月までの約3カ月間の予定。実証実験期間の終了後は効果検証を続け、2022年7月までに全国の物流センターで在庫配置を常に最適化し続けられるシステムの開発を目指す。

電気通信大学情報理工学研究科情報学専攻でAI分野における進化計算アルゴリズムを研究している佐藤寛之准教授とアスクルは、2019年より物流センター在庫品の配置を最適化するアルゴリズム開発の共同研究に取り組み、進化計算の改良を重ねてきた。さらに、膨大な出荷実績データを対象とする進化計算の実現に必要な高速化についてはタイムインターメディアが協力し、実証実験にこぎ着けた。

アスクルは従来、1つのオーダーに対しては無駄のない1箱で受け取れるような出荷形態を取っているが、全国9カ所の物流センターをまたぎ在庫している商品の影響で、複数の物流センターからの出荷により複数個口での配送になる場合もある。荷物を受け取る側の手間が増えるのに加え、複数センターからの遠距離配送による配送費の増大も課題となっている。

そこで、物流センターの在庫容量や出荷能力、各商品の在庫量、膨大な出荷実績データなどを進化計算で最適化し、商品ごとの適切な在庫配置を算出。各物流センターの在庫量を抑制し、最適な配置とすることが可能になるという。さらに、膨大な出荷実績データを対象とする在庫配置最適化の実現に不可欠な進化計算の高速化を推進し、荷物の個口割れを低減、遠距離配送費を削減、在庫量の抑制、配送効率向上を実現すると目論んでいる。

※以下、プレスリリースより引用(一部、編集部で修正)

対象期間 2021年12月1日(水)から約3カ月(予定)
対象センター DCMセンター、新砂センター、仙台DMC、ASKUL Logi PARK 横浜、
名古屋センター、ASKUL Value Center 関西、大阪DMC、
ASKUL Logi PARK 福岡
(計8カ所:アスクルのBtoBの配送を担う物流センター)
検証内容 進化計算による各物流センターの在庫配置最適化に向け、以下効果検証を実施。
・最適化実験を実施し、最適解を導く
・最適解に基づいた商品の在庫配置変更
・荷物の個口数の低減
・在庫量の抑制
・配送費削減効果
・配送効率など

(画像はアスクル提供)
(ロジビズ・オンライン編集部)

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