【独自】東証1部の物流企業、キユーソー流通システムや東海運など5社が新市場で最上位「プライム」選択せず

【独自】東証1部の物流企業、キユーソー流通システムや東海運など5社が新市場で最上位「プライム」選択せず

基準未達で報告書提出は6社

ロジビズ・オンラインは、東京証券取引所の市場再編に伴い、上場している主要物流企業83社がどの市場を選択したかを集計した。

12月10日時点で選択先の市場を公表したのは6割強の54社に上った。現在は1部に上場している34社のうち、2022年4月発足の新市場で最上位の「プライム」を選ばなかったのはキユーソー流通システム、東海運、日本石油輸送、共栄タンカー、東陽倉庫の5社となった。

5社とも選択の詳細な理由を開示していないが、最上位市場として企業のステータスになるものの上場維持のための労力も必要なプライムより、自社の事業規模の現状により適合している中位のスタンダードを選ぶ動きが物流企業の間で一定数出ていることが確認された。

2部やジャスダック、マザーズに上場している企業は、1社を除いてスタンダードを選んでいる。

また、選択した新市場の上場基準を一部満たしていないため、東証が経過措置として企業に求めている、改善に向けた計画書の提出を公表している上場物流企業はプライムが丸和運輸機関、中央倉庫、東洋埠頭の3社、スタンダードが京極運輸商事、アサガミ、エージーピーの3社の計6社だった。各社は株式持ち合いの解消や配当政策の見直し、株主優待の拡充、IRの強化などを打ち出している。

東証の改革は上場維持基準を現行より厳格化することなどを通じ、各企業が収益性向上を着実に果たしたり、成長の道筋を明確に投資家へ示したりするよう後押しし、海外の株式市場より見劣りしている投資額を底上げしていくのが狙い。物流企業も東証活性化へ貢献していくことが求められている。

集計は東証が「陸運業」「海運業」「倉庫・運輸関連業」に分類している企業を対象に設定。商船三井が完全子会社化の方針を表明している宇徳は除いた。

4割がまだ決定せず

東証は現在の1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場から22年4月4日にプライム、スタンダード、グロースの3市場へ体制変更する予定。新たな3市場は流通株式の時価総額や流動性、株主数、収益や財政の動向、コーポレートガバナンスへの対応度合いなどの基準で分類する。

プライムは海外の機関投資家が投資する市場、スタンダードは国内の投資家がメーンの市場、グロースは今後の成長を見込む市場との色合いだ。上場各社は東証からの新市場上場基準に適合しているかどうかの通知結果を踏まえ、12月末までに3市場のいずれを選ぶかを決定、申請する。東証が22年1月に集約した結果を開示する予定。

1部はおおむねプライムとみなされているが、1部上場企業の中には流通株式の時価総額などで基準を満たさないケースが相次ぎ出ている。特定の大株主を抱える企業は、株主数や株式の流動性を上げるのが難しい側面もある。

12月10日時点で日本通運やヤマトホールディングス、日本郵船、山九などが新市場の選択先を開示していない。ロジビズ・オンラインでは全社の選択結果が出そろった段階で、あらためて集計する予定だ。

(藤原秀行)

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