【独自】東証1部の物流企業、2割強の13社が新たな最上位市場「プライム」移行選ばず

【独自】東証1部の物流企業、2割強の13社が新たな最上位市場「プライム」移行選ばず

キユーソー流通システムや丸運、キムラユニティーなど、中位の「スタンダード」志向

東京証券取引所は1月11日、市場再編に伴い、上場している全企業が新たな所属先としてどの市場を選択したかを公表した。

ロジビズ・オンラインがそのうち、物流企業83社の選択結果を集計したところ、4月4日に発足する3市場で最上位となる「プライム」に移るのは1月11日時点で47.0%の39社に上った。全上場企業3777社ベースではプライム移行が48.7%の1841社となっており、ほぼ全体の動向と同じ比率だった。

集計は東証が「陸運業」「海運業」「倉庫・運輸関連業」に分類している企業を対象に設定。このうち、商船三井が完全子会社化の方針を表明している宇徳は除いた。

東証は現在の1部、2部、ジャスダック、マザーズの4市場から22年4月4日に「プライム」「スタンダード」「グロース」の3市場へ体制変更する。新たな3市場は流通株式の時価総額や流動性、株主数、収益や財政の動向、コーポレートガバナンスへの対応度合いなどの基準で分類する。

プライムは海外の機関投資家が投資する市場、スタンダードは国内の投資家がメーンの市場、グロースは今後の成長を見込む市場と設定。投資家にとって分かりやすく整理する。

東証の改革は上場維持基準を現行より厳格化することなどを通じ、各企業が収益性向上を着実に果たしたり、成長の道筋を明確に投資家へ示したりするよう後押しし、海外の株式市場より見劣りしている投資額を底上げしていくことを目指している。物流企業も東証活性化へ貢献していくことが従来以上に強く求められている。


新市場の概要(日本取引所グループウェブサイトより引用)

物流企業の中で現在は1部に上場している52社のうち、1部相当とみなされているプライムを選ばなかったのは25.0%の13社だった。具体的には丸運、日本石油輸送、エスライン、明治海運、共栄タンカー、東陽倉庫、乾汽船、ケイヒン、川西倉庫、サンリツ、キムラユニティー、キユーソー流通システム、東海運。いずれもプライムに次ぐ市場と位置付けられているスタンダードを選んだ。

13社のうち、エスラインは基準日の21年6月末時点でプライムの上場基準を一部満たしていなかったため、スタンダードを選択したと説明。乾汽船はプライムとスタンダードの両方の基準を満たしているが、「持続的な成長と中長期的な企業価値向上の観点から、総合的に新市場区分の移行先を検討した結果、スタンダード市場を選択した」と説明している。

それ以外の企業は選択の詳細な理由を開示していないが、最上位市場として企業の信用度向上が期待できる半面、上場維持のために株価上昇などの労力もより強く求められるプライムより、自社の事業規模の現状に適合している中位のスタンダードを志向したとみられる物流企業が一定数あったことがあらためて浮き彫りとなった。

2部やジャスダック、マザーズに上場している物流企業は、1社を除いてスタンダードへの移行を決めた。

なお、東証は期限内に選択先を申請しなかった上場企業については、1部と2部、ジャスダックスタンダードのいずれかに上場している場合はスタンダード、マザーズとジャスダックグロースのいずれかに上場している場合はグロースを選んだとみなして集計している。

基準未達で改善報告書提出の経過措置は12社

一方、選択した新市場の時価総額などの上場基準を、基準日時点で全て満たせていなかったため、東証が経過措置として企業に求めている、改善に向けた計画書を提出したと公表している上場物流企業はプライムが丸和運輸機関、中央倉庫、東洋埠頭、ファイズホールディングス、日本コンセプトの5社、スタンダードがゼロ、玉井商船、リンコーコーポレーション、兵機海運、京極運輸商事、アサガミ、エージーピーの7社の計12社だった。

各社は株式持ち合いの解消や配当政策の見直し、株主優待の拡充、IRの強化などを講じ、基準を満たす方針を打ち出している。今後は計画の着実な実行が必須となり、投資家からも厳しい目を向けられそうだ。

上場各社は東証からの新市場上場基準に適合しているかどうかの通知結果を踏まえ、21年12月末までに3市場のいずれを選ぶかを決定、申請した。1部上場企業の中には流通株式の時価総額などでプライムの上場基準を満たさないケースが続出。東証の集計によれば、プライムを選択した中で296社が前述の経過措置を活用した。

(藤原秀行)

東証の集計結果はコチラから(日本取引所グループウェブサイト)

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