ウェザーニューズが21年の調査結果公表
ウェザーニューズは1月20日、2021年の北極海の海氷に関する調査結果を公表した。
21年7月の北極海は冷夏傾向が影響して海氷の融解が進まず、年間最小海氷域面積は過去7年間で最大となる461万平方キロメートルになったと説明。北極海航路は、北東航路(ロシア側)と北西航路(カナダ側)がともに開通しなかった。
冬季に北東航路が開通しなかったのは2009年以来、12年ぶり。北西航路が開通しなかったのは2年連続。年間最少海氷域面積は20年の355万平方キロメートルから大きく広がった。
近年は水温上昇による海氷面積の減少が加速し、北極域は他地域と比べて2~3倍のスピードで温暖化が進んでいる可能性も指摘されている。特に20年は北極域で記録的な高温が記録され、北極海航路は史上最長となる88日間の開通を記録した。
しかし、21年夏は対照的に、最小期の9月も北極海航路上の一部海域で海氷が解け残っていたという。
ウェザーニューズは21年4月、海運業界向けのCO2排出量監視サービス「CIM(Carbon Intensity Monitoring)」を開始。従来の最適航路を選定するサービス「OSR(Optimum Ship Routeing)」とCIMを組み合わせ、環境負荷軽減を重視した航海ルートの確立と実際の排出削減量の見える化をサポートするなど、海運市場の環境対策をデジタル技術で後押ししている。
同社は引き続き、北極海航路の安全運航を支援するため、独自の超小型衛星や独自の予測モデルを活用して北極海の海氷を細かく観測・分析し、より正確な海氷情報を提供すると説明している。
北極海航路の開通期間と21年9月12日(年間最小日)の海氷分布。左が北東航路、右が北西航路
2021年9月12日(年間最小日)の海氷分布(いずれもプレスリリースより引用)
(藤原秀行)