自動車事故の被害者救済財源確保へ自賠責保険料引き上げを提言

自動車事故の被害者救済財源確保へ自賠責保険料引き上げを提言

国交省検討会、年間100~150円程度加算か

国土交通省は1月21日、政府による自動車事故の被害者救済や事故防止の事業を安定的に継続して行えるようにするための方策を議論する「今後の自動車事故対策勘定のあり方検討会」の中間取りまとめを公表した。

同事業の財源を確保するため、自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料の一部から徴収している賦課金を引き上げることを提言した。

国交省は開会中の通常国会に、自動車損害賠償保障法など関連法の改正案を提出し、成立すれば2023年度に実施したい考え。1台当たりの自賠責保険料2万10円のうち賦課金は約32円。具体的な引き上げ額は今後、関係省庁間で調整するが、年間で100~150円程度加算することを想定しているとみられる。

同事業は交通事故で重い障害を負った人の治療やリハビリを担う施設の整備などを行っている。費用は01年度まで続いていた自賠責保険の政府再保険制度に基づき保険会社が支払っていた再保険料の運用益をベースとする国の特別会計「自動車安全特別会計」から拠出している。

しかし、近年は低金利が続いて運用益がほとんど出ていない上に、財務省が財政難を補うため同特別会計から約1兆1200億円を借りて一般会計に繰り入れたが現時点で約6000億円が返済されずに残っているため、同事業に使える残高は約1500億円にとどまっている。

国交省は現在の取り崩しのペースが続けば35年度ごろに同特別会計が枯渇する恐れがあるとみており、賦課金引き上げで財源を安定的に維持したい考え。併せて、財務省に対し、一般会計から同特別会計へ資金を繰り戻すよう求めていく方針。

(藤原秀行)

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