エアロネクストとセイノーHDが福井県敦賀市で実験公開、22年度のサービス開始目指す
エアロネクストは1月24日、セイノーホールディングス(HD)や福井県敦賀市と連携し、同市で1月20~21日にドローンを使った配送の実証実験を行ったと発表した。市街地と過疎地をドローンで結び、荷物を輸送。雪の中でも問題なく、配送できることを確認した。
エアロネクストとセイノーHDは、ドローンなどの先進技術を有効活用して地方の物流を時速可能なものにする「SkyHub(スカイハブ)」の実現を目指しており、既に山梨県小菅村と北海道上士幌町で、ドローン配送やバスを使った「貨客混載」など、SkyHubの実用化に向けた取り組みを展開している。
両社と敦賀市は2021年11月、脱炭素化の取り組みを通じて高齢化や過疎化など地域の抱える課題の解決を図る包括連携協定を締結した。同市でも地理的特性などを踏まえた最適なSkyHubの構築を図る。
実験で雪の中を飛ぶドローン(以下、いずれもエアロネクスト提供)
実験はドローン配送サービスを手掛けるエアロネクスト子会社のNEXT DELIVERYが実施。一般財団法人環境優良車普及機構から「令和3年度 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金交付対象事業(社会変革と物流脱炭素化を同時実現する先進技術導入促進事業)」に採択されている。
敦賀市は総人口が約6万4400人(21年9月末現在)、面積は県内で3番目に広い251.41平方キロメートル。典型的な扇状地形で市街地が中央に位置し、放射状に山間地域が広がっている。
物資や商業施設が集積する市街地と過疎化が進行している愛発地区への「市街地・過疎地連結型ドローン物流」を想定し、2021年度は同地区内で住民の理解度向上、定期飛行に向けた課題の洗い出しを目的として仮設のドローンデポ(荷物の発送拠点)とドローンスタンド(荷物の受け取り場所)を設置、実証実験を継続する。
市街地から離れた同地域に住む交通弱者らの買い物を支援するため、住民がSkyHubの専用アプリで注文した地元スーパーの食料品詰め合わせセットを、仮設のドローンデポ(愛発地区公民館)から愛発地区内の仮設ドローンスタンド3カ所まで(往復距離約1.4~2.3キロメートル)、ドローンで届ける。
20日の報道関係者への公開時は、住民がSkyHubアプリで注文した「ごはんセット」が、約5分後に奥野地区疋田会館までの片道約700メートルをドローンが飛行、無事届けられた。
本実証後、22年度をめどに、市街地と愛発地区が結節する地点に各社の荷物などを集約するドローンデポを、愛発地区内にドローンの着陸地点となる複数のドローンスタンドをそれぞれ設置。地上配送と将来のドローン配送を想定した買い物代行サービスから開始する予定。
無事に「ごはんセット」を届けた
(藤原秀行)