大規模マルチ型物流施設の実質賃料、首都圏の21年10~12月は横ばいに

大規模マルチ型物流施設の実質賃料、首都圏の21年10~12月は横ばいに

CBRE調査、「上昇ペースは鈍化しつつある」と指摘も

シービーアールイー(CBRE)は1月31日、2021年10~12月期の大規模マルチテナント型物流施設の賃貸市場動向に関する調査結果を公表した。

首都圏の1坪当たり実質賃料は4470円で、前期(21年7~9月)から横ばいとなった。賃料の水準が首都圏全体の平均より低いエリアで新規に物件が完成した影響があったが、今後の供給が少ないことが見込まれているエリアは既存物件で賃料の上昇傾向が継続した。

ただ、CBREは「賃料の上昇ペースは鈍化しつつある」と指摘。「豊富な供給でテナント企業の選択肢は増えており、竣工前の早い段階で満床となる物件は少なくなっている」との見方を示している。

首都圏の平均空室率は前期0.3ポイント下がって2.3%だった。4四半期ぶりに前期水準から低下した。

CBREによると、10~12月期に竣工した物件は6棟・17.5万坪で、このうち3棟で空きスペースが残っていたが、3棟は満床で稼働した。21年に完成した築浅物件でも複数のテナント企業が入居を決めたこともあり、新規需要は18.8万坪と旺盛だった。

22年通年では新規供給が04年のCBRE調査開始以来、最大となる72万坪が見込まれているが、CBREは「向こう2四半期の竣工予定物件は約半分の面積でリーシングが進んでいるため、22年第3四半期(7~9月)の空室率は2.4%程度で、大きく上昇はしない見通し」と解説した。


首都圏の需給バランス推移(CBRE資料より引用)

主要4エリア別の空室率を見ると、東京ベイエリアは0.3ポイント上がって0.5%、外環道エリアは2.1ポイント上がって2.4%。一方、国道16号エリアは0.2ポイント下落し3.0%、圏央道エリアも1.2ポイント下がって0.9%だった。

調査対象は首都圏1都3県を中心とする地域で延べ床面積が1万坪以上の206棟。

(藤原秀行)

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