(金成隆一著・朝日新聞出版)
ますます傍若無人ぶりに磨きが掛かるトランプ米大統領。そんな彼を支持しているのは一体誰?との素朴な疑問を晴らそうと、朝日新聞記者が草の根取材を敢行した。主要産業が衰退した中西部の「ラストベルト」に部屋を借りて住み込み、支持層の集まる地域を観察。その結果見えてきたのは、所得が伸びず先行き不安な生活から抜け出そうと、製造業復活や不法移民排斥を声高に訴えるトランプに希望を抱く“普通の市民”たちだった。現代の悩める米国を見事に浮き上がらせている優れたルポルタージュだ。(2018年10月刊・1400円)
(藤原秀行)