ウクライナ侵攻受け対ロ経済制裁強化を表明、エネルギー価格高騰への対応拡充も

ウクライナ侵攻受け対ロ経済制裁強化を表明、エネルギー価格高騰への対応拡充も

岸田首相が会見、「国際法違反で到底容認できず」と強く非難

岸田文雄首相は2月25日朝、ロシアがウクライナに侵攻したのを受け、首相官邸で記者会見した。

岸田首相は「今回の侵攻は力による一方的な現状変更の試みであり、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害する明白な国際法違反。国際秩序の根幹を揺るがす行為で断じて許容できず、厳しく非難する。わが国の安全保障の観点からも決して看過できない。軍の即時撤収と国際法順守を強く求める」とあらためてロシアを強く非難。G7(先進7カ国)など関係各国と緊密に連携し、ロシアへの経済制裁を強化する方針を表明した。

具体策として、2月23日に公表済みの経済制裁に加え、資産凍結と査証発給停止によるロシアの個人・団体などへの制裁、ロシアの金融機関を対象とした資産凍結など金融分野の制裁、半導体など汎用品のロシア向け輸出禁止・規制を速やかに実施すると説明。併せて、ウクライナ在留邦人の安全確保に最大限努力すると語った。

岸田首相は「国際社会として強い意志を示すことが今、何より求められている。いかに国際社会が連帯し、強い連携の下、ロシアに厳しい評価をし、制裁を科す姿を示すことが重要だ」と経済制裁強化の意義を強調した。

また、ウクライナ侵攻に伴い原油などエネルギー価格が高騰しているのを受け、燃油価格の激変緩和措置を大幅に拡充すると説明。原油や天然ガスの備蓄・在庫があり「エネルギーの安定供給にただちに大きな支障を来すことはないと認識している」と述べ、国民に冷静な対応を呼び掛けた。

ガソリン税の一部を一時的に引き下げるトリガー条項の凍結解除を求める声が挙がっていることに対しては「原油価格が上昇し続けた場合の対応は何が実効的で有効な措置かという観点からあらゆる選択肢を排除せず、政府全体でしっかりと検討、対応していきたい」と語り、言及は避けたものの可能性を明確に排除しなかった。

「力による現状変更は決して受け入れられない ともに強く発信していくことが重要。こうした姿勢を示すことが、アジアなど他の地域でも今回のような行為を抑制することにつながると信じる」と表明。直接的に言及しなかったが台湾に対して中国が強圧的な姿勢を取ることをけん制した。

(藤原秀行)

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