例年と比べて長めの冬季休暇を取った運送事業者も散見
年末年始の繁忙期で懸念された車両不足は荷主企業、物流事業者の事前対策が奏功し、特に企業間物流で大きな混乱は起きなかったもようだ。
ロジビズ・オンラインの取材に応じた各企業の見解を総合すると、トラックドライバー不足を踏まえ荷主企業が輸送オーダーの前倒しや納期の分散化などに取り組んだほか、物流事業者も人手不足などの現状を早くから説明し理解を求めたケースが散見された。双方がコミュニケーションを密にしたことが問題回避につながったといえよう。
全国規模で展開する地場系運送事業者の営業担当者は「昨年秋口から経営トップ自らが荷主企業に出向いて事情を説明。大半で理解を得られた一方、受け入れてもらえなかったところとは残念ながら取引を打ち切らざるを得なかった」と語り、輸送の需給環境は運び手側が優位にあることを示唆した。
南関東地区で大手化学メーカーの事業所と直接取引している中小系運送事業者の業務担当者は「昨年末はメーンの荷主企業が納品先との条件交渉などを積極的に進めてくれたことで年末年始にオーダーが集中することはなかった。当社側もトラックドライバーは慢性的に不足しており、こんな状況で無理に貨物を取りに行くだけの余力はなかったのも事実」と振り返る。この企業では年末年始を全休としたことで過去に例がない9連休を実現したという。
大手路線事業者の営業担当者も「12月の大波動を回避するため相当早い段階から荷量の平準化に取り組んだ。確かに年末年始は繁忙期で平常時よりも荷量自体は増えるが、オーダーの一局集中を避けるべく荷主企業に協力を要請した。契約上やむを得ない場合を除き原則的には休みとした」と回顧。長距離幹線輸送は中高年ドライバーの依存度が高いことから、体力的な負担を考慮した部分もあったという。
今回のヒアリングは全体のごく一部の動向ではあるものの、回答各社に共通していたのは荷主企業が主体的に対応を図った点が挙げられる。取り扱う貨物や配送先によってはこの限りではないが、荷主企業のトラックドライバー不足に対する理解・認識の浸透ならびに物流事業者との距離感が近づいていることがうかがえる。
(鳥羽俊一)