【現場取材、動画】千葉・幕張で無人自動走行ロボットの公道走行実験を公開

【現場取材、動画】千葉・幕張で無人自動走行ロボットの公道走行実験を公開

市や京セラコミュニケーションシステム、ショッピングセンターから高層マンションに商品配達

千葉市と京セラコミュニケーションシステムは3月23日、千葉市幕張新都心の公道を使い、無人自動走行ロボットが店舗で購入した商品を指定のマンションまで配送するサービスの実証実験をメディアに公開した。

独自の無人自動倉庫ロボットを活用し、人手不足が深刻化する配送の業務効率化を図るのが狙い。千葉市は様々な規制緩和を可能にして新たなサービスの開発などを後押しする「国家戦略特区」に指定されている。


実験に投入している無人自動走行ロボット

実験は3月10~24日の平日に実施。幕張新都心に位置するショッピングセンター「イオンスタイル幕張ベイパーク」から公道を通り、近隣の高層マンション2棟を巡回、商品を届けて店舗に戻っている。

無人自動走行ロボットは海外製で、最高時速は15キロメートル。ミニカー(長さ2.5メートル以下×幅1.3メートル以下×高さ2.0メートル以下)に準じた大きさで、日本では原動機付き車両の扱いとなるためナンバープレートを付けている。政府が道路交通法の改正で利用を解禁しようとしている対象の無人宅配ロボットにはサイズや速度などの条件で該当しない。

自動走行中は設置したカメラなどで遠隔監視し、道路上に障害物があって自動的に回避するのが難しい場合などは近接・遠隔操作に切り替えている。


公道を走行

側面に商品を入れる大型サイズと中型サイズのロッカーを5個ずつ、小型サイズのロッカーを10個備えており、LINEの専用アプリを通じて通知されたパスワードを入力すれば、商品の入ったロッカーの扉を開けられる。マンションの敷地内で、購入した住民がロッカーから商品を取り出す。

2つのマンションの住民60人ほどがアプリに登録し、これまでに10件以上の利用があったという。この日は店舗から2つのマンションまで1キロメートル超の道のりを自動走行と近接操作でロボットが特段のトラブルもなく、スムーズに移動した。


LINEでロッカーを開けるパスワードを通知


到着後に荷物を取り出す

実験に参加した千葉市総合政策局未来都市戦略部の三浦賢太郎国家戦略特区推進課課長補佐は「ロボットが街並みに溶け込んでおり、それほど違和感を覚えなかった。自動走行や近接・遠隔操作で、ある程度は人の飛び出しなどの緊急の出来事にも対応できるため、安全に走行可能という印象を持った」と説明。「ロボットを住民の方に受け入れていただけるための情報発信の在り方などを検討していきたい。民間の方には今後も特区を活用し、多様な取り組みを進めていただきたい」と語った。

京セラコミュニケーションシステム経営企画部 企画部モビリティ事業開発課の杉森亘氏は「配送だけにとどまらず、将来は移動販売や巡回警備などにも応用していきたい」と強調。完全な無人自動走行の実現にも意欲を示した。

(藤原秀行)

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