物流拠点で継続的に実施可能
ダイワコーポレーションは3月24日、東京都品川区の本社で、VR(仮想現実)消火訓練シミュレータを使った消防訓練を3月8~10日にかけて、初めて実施したと発表した。
総務省消防庁によると、倉庫火災の件数は2018年が447 件、そのうち延べ床面積が1万平方メートル以上の倉庫火災は17件で、大規模倉庫の火災は年々増加傾向にあるという。
一般的に倉庫は大量の可燃物が存在し、出荷した場合に延焼拡大しやすいため、被害を最小限に抑えるには適切な初期消火の実施が非常に重要。庫内の消火設備の位置確認と適切な使用方法の理解が不可欠となっている。
VRを用いた消防訓練の様子
VR消火訓練シミュレータは体験者がVR機器を装着し、仮想空間で発生した火災を消す体験ができる。実物の訓練用消火器にVR用無線コントローラーを内蔵した専用消火器を使う。消火器のピンを抜いてレバーを握るとVR 上で消火剤を放射。ホース先端に内蔵したセンサーが動きをトレースするため、仮想空間でリアルな消火訓練が可能となる。火が消えるとVR視聴画面上に「消火成功」の文字が表示される。
同社は以前、本社屋上で水の入った訓練用消火器を使い、的に向かって水を放射する消火訓練を行っていた。屋外の訓練は安全性の高い場所の確保や訓練用消火器の準備・後片付けが必要なため、複数回の実施が難しく、多くの人が訓練参加を望んでも業務都合や新型コロナウイルスの感染予防対策で集合が困難なことが課題だった。
新たなツールを採用することで、準備や後片付けを容易に済ませ、何度でも訓練を行えるのがメリット。同社はVR消火訓練シミュレータを1セット・4日間レンタルし、消防訓練を開催した。VRゴーグル内の映像をモニターに映し、見学者と共有することもできる。火の大きさをグラフで表現したり、消火剤放射の向きが異なるとアナウンスして注意喚起したりと適切な消火活動を体感できるよう配慮している。
訓練は本社会議室で、コロナ感染予防のため部門ごとに日程を分けて実施。訓練に参加した社員からは「消火手順・ポイントが学べた」「消火活動体験を室内でできるのは良い」との意見が出ており、訓練終了後の参加者アンケートでも「今後もこのようなVRを使った消火訓練コンテンツをぜひ利用したい」の回答が50%以上を占めたという。
同社はアンケート結果を踏まえ、VR消火訓練シミュレータを長期レンタルし、物流拠点でも継続的な訓練を実施することを検討している。
同社はこれまでにも、物流拠点のある地域を管轄する消防署と消防団に災害訓練対応場所を提供するなど、防火活動に注力している。
消防訓練の様子
(藤原秀行)※写真はいずれもダイワコーポレーション提供