長期ビジョン・新中計発表会見で強調、当面のかじ取りに意欲
SGホールディングス(SGHD)の栗和田榮一会長兼社長は3月30日、東京都内で開いた新たな長期ビジョンと中期経営計画に関する発表会見で、「持続的に成長していくためには経営環境面でさまざまな制約条件があり、とても困難な時代と認識している。業種・業界にとらわれないパートナーと連携して取り組んでいく必要がある」と語り、輸配送サービスの効率化やサービスレベル向上などのため、物流業界をはじめ多様な企業との連携を視野に入れていく姿勢を強調した。
併せて、「新たな価値を創出し、顧客にも社会にも有用な存在として、できれば当社がその真ん中で常に居続けられるようにしたいと思っている」と述べ、温室効果ガス排出削減など社会課題の解決にも貢献していく意向を明示した。
会見する栗和田氏
質疑応答で75歳の栗和田氏に対し、今後の後継者育成に関する質問が出たのを受け、栗和田氏は1992年に佐川急便社長となってから30年が経過することに言及。「後継を誰にするのかも長年の課題なので、これから中期経営計画を進捗させていく中で考えていく。もう少し、私に社長としての地位をお与えくださるようお願いしたい」と述べ、引き続き経営トップとしてグループ経営のかじ取りに当たることに意欲を見せた。
会見に同席した松本秀一代表取締役(管理・統制担当)は長期ビジョンで打ち出している2050年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成に向けた事業用車両の電動化に関し「半導体の調達遅れでメーカーからの(EV=電気自動車などの)納車が遅れているということもあり、計画通り導入できるかどうかは分からない」と指摘。同時に「中国以外に国産のEVも出てくるのが見えているので、こちらも併せて導入していきたい」と説明した。
本村正秀取締役(デリバリー・ロジスティクス事業担当、佐川急便社長兼務)は、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される2024年問題への対応に関し「自社に関しては一定のめどがたっている」と明言。同時に、パートナー企業についても、車体と荷台を分離できるスワップボディ車両を使った中継輸送の促進などで労働時間短縮を図っていく意向を明らかにした。
また、付加価値輸送サービスのTMSについて、ワクチンなど医薬品の取り扱いを伸ばしていきたいとの考えを示した。
川中子勝浩取締役(経営企画担当)は「必ずしも資本をベースにしたM&Aだけでなく、物流業界はいろんな強みを持った企業がいらっしゃる。同業に限らず、いろんな新しい技術が出てきており、そういった方々とWin-Winの関係を描けるようなアライアンスへ積極的に取り組んでいきたい」と強調した。
会見に臨む栗和田氏ら経営幹部
(藤原秀行)