ロシアのウクライナ侵攻や中国のコロナ禍など影響と想定
世界貿易機関(WTO)は4月12日、世界の貿易動向に関する調査結果を公表した。
物の貿易量が2022年は前年比3.0%増えると予想。2021年10月に公表した見通し(4.7%増)から1.7ポイント引き下げた。21年の実績(9.8%増)から大きくペースダウンするとの基本的なシナリオは堅持した。
ウクライナに侵攻したロシアに対し、欧米諸国などが相次ぎ制裁を科して世界経済が混乱、資源や原材料の価格が高騰していることが響くとみている。中国で新型コロナウイルスの感染拡大に伴い都市封鎖など厳しい対応を講じていることも逆風になると想定している。
23年は3.4%増で、22年からほぼ横ばいと予想している。WTOはロシアのウクライナ侵攻の展開によっては22年以降の予想が変動する可能性があると注意喚起している。
22年の予測を主要国・地域別に見ても、輸出は北米が3.4%増で、21年の6.3%増からスローダウン。欧州は21年の7.9%増から2.9%増、アジアは13.8%増から2.0%増へ伸びが鈍化すると見積もっている。
輸入も北米は21年の12.6%増から3.9%増、欧州は8.1%増から3.7%増、アジアは11.1%増から2.0%増にそれぞれ減速すると展望している。ロシアを中心としたCIS(独立国家共同体)は10.7%増から12.0%減へ大幅に縮小、大きな打撃を受けると計算している。
(藤原秀行)