(軽部謙介著・岩波新書)
現政権が続ける異色の経済政策「アベノミクス」がいかにして形成されてきたのか。その裏側を通信社で長く経済記者として活躍している著者が徹底取材し、時系列で再現してみせる。異次元の金融緩和を仕掛けて景気を浮上させたい政権と、中央銀行の独立性を守ろうと抵抗する日銀の暗闘が明かされる。同時に、時に無謀な主張をする政治家の意を汲み取り、自身の利益にもかなう形で政策を軌道修正していく官僚たちの狡猾さも浮き彫りに。読みがいのある人間ドラマだ。(2018年2月刊・860円)
(藤原秀行)