中国・上海の日系企業、6割が「工場全く稼働せず」

中国・上海の日系企業、6割が「工場全く稼働せず」

上海日本商工クラブがコロナ禍でロックダウン影響調査、市内の物流全く手配できないが5割超に

中国・上海に進出した日本企業が参加している非営利組織「上海日本商工クラブ」は5月5日、新型コロナウイルス感染症の影響で上海のロックダウン(都市封鎖)が続いていることの影響に関する調査結果を公表した。

上海で生産している製造業の6割が、工場が全く稼働していないと回答。その背景として、物流の大混乱などがあることが浮き彫りとなった。上海市当局が市内の通行に必要な許可証の発行を厳格化していることなどが響いている。

調査は4月27~30日、会員の125社を対象に実施、8割の100社が回答した。

工場の稼働状況を尋ねたところ、調査に応じた54社の63%が「全く稼働していない」を選択。「3割以下」の25%と合わせると9割に達し、大多数の製造業が深刻な影響を受けていることがうかがわれた。

製品や原材料の物流を確保できているかどうか状況を聞いたところ、回答した80社超の企業のうち、上海と市外の間の国内物流は「必要量の3割以下」が42%で最も多く、「全く手配できない」が35%、「必要量の半分程度」が12%などとなった。上海市内の国内物流も「全く手配できない」が56%、「必要量の3割以下」が30%などと続いた。いずれの領域も「充足している」はわずか2%だった。

国際物流も同じく、「全く手配できない」が43%、「必要量の3割以下」が27%などとなった。「充足している」は6%にとどまった。

自由回答では、国内物流について「高速を降りられず一般道を走れない」「3月半ばから納入できない物が多々ある」「政府が発行する通行許可証の取得が難しい」などと悩みの声が挙がった。

国際物流も「日本側で危険品貨物の受託が停止中」「一部パーツについては日本から直送」など、代替ルートの確保に頭を悩ませている姿が浮き彫りとなった。

「ギリギリの状態で物流を手配して原料入荷と製品出荷を行っているが、輸送費用も高騰し困っている」「運送コストが上昇、上海関連は5倍以上」「仮にトラックが確保できても費用が非常に高いが、現在、輸送業者との交渉余地はない」といった、物流コスト上昇への悲鳴も相次いだ。

(藤原秀行)

調査結果はコチラから(上海日本商工クラブ ウェブサイト)

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