公取委、道路貨物運送業など22業種対象にコスト上昇分の価格転嫁拒否有無を緊急調査へ

公取委、道路貨物運送業など22業種対象にコスト上昇分の価格転嫁拒否有無を緊急調査へ

受注者に調査票8万通送付、ウェブサイトでも回答受け付け

公正取引委員会は6月3日、人件費や原材料費、燃料費の上昇分の価格転嫁を拒否している事案がないかどうかを緊急調査すると発表した。

対象は道路貨物運送業、各種商品の小売業と卸売業、食料品製造業、パルプ・紙・紙加工品製造業など22業種。立場が弱くなりがちな業務の受注者向けに調査票8万通を発送、独占禁止法で禁じている「優越的地位の濫用」への抵触が疑われる事案の有無を尋ねる。併せて、調査票が届いていなくても調査に参加できるよう、公取委のウェブサイト上に特設ページを開き、回答を受け付ける。

公取委は今後、受注者向け調査の結果などを踏まえ、業務の発注者に対しても2万社以上の規模で書面調査を実施するとともに、コスト上昇分の転嫁拒否が疑われる事案への立ち入り調査を行う予定。さらに、関係事業者に対しては具体的な懸念事項を明示した文書を送付するとともに、2022年中をめどに調査結果を取りまとめる。

公取委が5月に公表した、継続的に実施している荷主企業(団体や組合含む)と物流事業者の取引に関する最新の実態調査結果では、荷主19社が労務費や原材料費、燃料費の上昇分を運賃や料金に転嫁するのを拒否していることが疑われたため、立ち入り調査を実施したほか、書面と立ち入りの調査結果を基に、法令に抵触する恐れがあった荷主641社に対し、懸念事項を具体的に記した文書を出し、注意喚起したことを明らかにしている。

(藤原秀行)

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