PwCグローバル調査で判明、米中貿易摩擦など影響
プライスウォーターハウスクーパース(PwC)は1月21日、スイスで開かれたダボス会議に併せて、「第22回世界CEO(最高経営責任者)意識調査」の結果を公表した。米中両国の貿易摩擦などの影響で、グローバルの主要企業トップの間で世界経済の成長減速懸念が広まっていることが明らかになった。
調査は2018年9~10月に実施、91カ国のCEO1378人から回答を得た。
今後12カ月間の世界経済について展望を尋ねたところ、「改善」は前回18年公表時の57%から42%へ急落した一方、「悪化」は5%から29%へと跳ね上がり、3年ぶりに前回調査を上回った。「悪化」の比率は13年(28%)以来の高い水準となった。
特に北米エリアでは「改善」が18年の63%から37%へ5割近くダウンした半面、「悪化」は3%から28%へ大きく拡大。他のエリアも総じて「悪化」が全体の2~3割へと上昇した。
今後12カ月間で本拠地を除いてどのエリアが自社の成長にとって最も重要かを尋ねたところ(複数回答)、米国が27%でかろうじてトップだったものの、前回の46%から大きくダウン。中国も33%から24%に低下した。「分からない」が前回の8%から15%にアップし、3番目に多かった。
「過剰な規制」「政策の不確実性」が脅威に
PwCのグローバル会長を務めるボブ・モリッツ氏は「世界経済に対するCEOの見方は主要経済に関する見通しを映す鏡であり、19年の予想を下方修正している。貿易をめぐる緊張感の高まりや保護主義の台頭が自信低下の理由として挙げられる」と解説している。
今後12カ月間の自社の成長について「非常に自信がある」と答えたのは35%で、前回の42%を割り込んだ。
自社の成長にとって特に脅威になるものを挙げてもらったところ(複数回答)、「過剰な規制」と「政策の不確実性」がともに35%でトップ。続いて「鍵となるスキルが継続して稼働できる能力」(34%)、「貿易摩擦」(31%)、「サイバー面の脅威」(30%)、「地政学的な不確実性」(30%)、「保護主義」(30%)などとなった。
(藤原秀行)
調査結果の資料(英文)はコチラから