関係省庁幹部が説明、山際経財相は「政治がサポート」
千葉市の幕張メッセで6月21~23日に開かれている、ドローンに関する国際展示会「JapanDrone2022」(主催・日本UAS産業振興協議会=JUIDA、共催・コングレ)は、政府が今年12月をめどに、人口密集地上空で補助者を置かず、ドローンが目視外飛行する「レベル4」を解禁する準備を進めているのを受け、物流への利用を意識した機体やサービスの展示が目立った。
基調講演した関係省庁の幹部らはドローンの物流などへの利用を着実に後押ししていくことにあらためて強い意欲を示し、そのための操縦ライセンス導入など制度設計を加速させる必要性を強調した。基調講演などの会場は多くの聴衆が詰め掛け、立ち見も出るなど、政策動向への関心の高さをうかがわせた。
会場には講演開始を待つ長い行列ができ、満員に
6月21日の展示会初日の冒頭、主催者を代表してJUIDAの鈴木真二理事長(東京大学名誉教授)がウェルカムスピーチを行い、JUIDA会員が3万、JUIDA認定スクールが全国で300に届く勢いで伸びていることなどを紹介。JUIDAの2022年の目標として「ドローン社会実装元年」を掲げていることにも触れ、「ドローンを社会実装したスマート社会の実現に向け、展示会を新しい知識、アイデア、ネットワークを見つけるチャンスとしてご活用いただきたい」とあいさつした。
鈴木理事長
講演した内閣官房小型無人機等対策推進室の小熊弘明参事官は、岸田文雄首相が推進している「新しい資本主義」の実行計画の一環として、離島や山間部からドローン物流サービスを実装するとの方針を明示したことなどに言及し、政府としてドローン物流実用化へ民間事業者らへの支援を強化していく姿勢をアピール。「社会実証、技術開発を含めて皆様の取り組みを進めていただきたい」と訴えた。
内閣官房・小熊氏
経済産業省の宇田香織次世代空モビリティ政策室長は、ドローン関連産業の振興に向け、ドローンや「空飛ぶクルマ」の実用化を後押ししていく方針を明示。2022年度は「次世代モビリティの社会実装に向けたプロジェクトとして29.3億円の予算を計上していることにも触れ「運航体制の省人化で1人の操縦者が複数の機体を操縦できるようにし、ドローン活用のポテンシャルをさらに引き出していく」などと今後の取り組みの方向性を示した。
経産省・宇田氏
国土交通省航空局安全部の梅澤大輔無人航空機安全課長は、今年12月のレベル4解禁へ、ドローンの機体認証・技術証明制度などを創設する準備を図っていると説明。2022年度中をめどに機体認証や操縦ライセンスの試験とライセンス発行まで至るよう、制度の具体化を急ぐ考えを見せた。
国交省・梅澤氏
山際大志郎経済財政・再生担当相が飛び入りで参加し、「それぞれの立場でドローンを使い、21世紀の日本社会をより豊かにするにはどうすればいいか、知恵をみんなで出し合い、政治が実現をサポートする体制を作っていきたい」と聴衆に呼び掛けた。
山際経財相
国交省の加藤雅啓官房技術総括審議官は、行政の場面でも災害対応などでドローンを使う場面が増えていると指摘。ドローン専用の離着陸設備「ドローンポート」を整備する必要性を訴えた。
(藤原秀行)