「市場調査やアセットの事業性評価など注力」

「市場調査やアセットの事業性評価など注力」

JLL森井鑑定の永野新社長が事業拡大へ抱負

 ジョーンズ ラング ラサール(JLL)傘下で不動産鑑定評価を手掛けるJLL森井鑑定の永野誠社長は1月29日、東京都内のJLL本社で記者会見した。

 今月就任したばかりの永野社長は、中核の鑑定評価業務を強化するのに加え、不動産投資商品の分析や市場調査、オペレーショナルアセット(施設運営の巧拙で収益性が大きく変動する不動産)が持つ事業性の評価などを幅広く手掛ける「総合バリエーションカンパニー」に進化していきたいとの考えを示した。


会見で事業拡大の抱負を述べる永野社長

 併せて、JLLがグローバルに展開している不動産サービスのネットワークも活用し、英文鑑定評価の要約・解説などを通じて日本から海外不動産へのアウトバウンド投資をサポートすることにも強い意欲を示した。

 永野社長は「不動産鑑定業界は日本不動産研究所、大和不動産鑑定、谷澤総合鑑定所がビッグ3と呼ばれている。そこに並び得る立ち位置まで、規模なり業績なりを伸ばしていきたい」と抱負を述べた。

物流施設は「まずしっかり鑑定」

 永野社長は核としている不動産鑑定評価について、今後は「不動産」と「評価」に分解してビジネスの拡大を目指す姿勢を強調。「不動産」に関しては、新たな顧客として海外不動産への投資を希望する投資家や、運用対象を多様化したい地域金融機関へのサービス売り込みを図ることなどを明らかにした。

 「評価」の部分では、機関投資家向けにさまざまな不動産投資商品を分析するほか、今後成長が見込まれるオペレーショナルアセットとして、トランクルームなどのセルフストレージ、学生寮、データセンターの事業評価を手掛けたいとの考えを示した。

 一般的にオペレーショナルアセットの一種に位置付けられる物流施設については「非常に日本の不動産業界で大切な、メジャーなアセット。われわれとしては、どちらかといえばまだそれほどメジャーになっていないところで強みを発揮していきたい。物流施設はこれまでと同様、まずかっちりと鑑定をさせていただくところで対応したい」と述べた。

 同社の前身となる森井総合鑑定は1948年創業。2016年にJLLが全株式を取得し子会社化、18年に現社名へ変更した。鑑定件数の1割程度を物流施設が占める。今年5月1日付でJLLの鑑定部門とJLL森井鑑定を統合する予定。

 永野社長は三和銀行(現三菱UFJ銀行)出身。投資顧問会社などを経て15年10月に森井総合鑑定の執行役員COO(最高執行責任者)に就いた。

(藤原秀行)

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