鉄道貨物利用促進へ「ダイナミックプライシング」導入や新幹線使った高速輸送を提言

鉄道貨物利用促進へ「ダイナミックプライシング」導入や新幹線使った高速輸送を提言

国交省検討会が中間取りまとめ、12ftコンテナ以外への対応強化や平時からの災害対応協議も要請

国土交通省は7月28日、「鉄道物流の在り方に関する検討会」(座長・根本敏則敬愛大学経済学部教授)を開き、鉄道貨物の利用促進策の中間取りまとめを決定した。

利用状況に応じて運賃を柔軟に変動させる「ダイナミックプライシング」を導入し、稼働率が低い曜日や時間帯の需要を掘り起こすことや、新幹線に貨物専用車両を設置した高速貨物鉄道の可能性を検討することなどを打ち出した。近年ニーズが伸びている定温コンテナや容量の大きい31フィートコンテナにも現状以上に対応できるよう設備を整えることも提案した。

また、災害に弱い点に関しては平時からJR貨物とJR旅客各社、国の間で連携を強化し、対応を進めておくよう要望した。

国交省は今後、JR貨物などと協議しながら、中間取りまとめに盛り込んだ対策の実現を図る。

中間取りまとめは、12フィートコンテナによる輸送がこれまで標準とされたため、インフラやサービスの対応力が限られ、ニーズが増えている定温・低音の輸送や10トントラックと同等の容積を持つ31フィートコンテナに必ずしも十分応えられていないと指摘。トラックドライバー不足の影響で同じく需要が増えている中距離輸送にも対応できていないと分析し、定温コンテナや31フィートコンテナの導入拡大へ設備面やダイヤ面などで施策を進めていくよう求めた。

災害時も含めて輸送障害が起きやすい現状を踏まえ、あらかじめ複数のルートで他のトラックやフェリーといった輸送モードによる代行輸送の準備を進めておくことや、そのための追加費用の負担を事前に協議しておくことなどを提言。コンテナの現在地や代替輸送の手配状況など荷主企業が必要とする情報を分かりやすく迅速に提供する体制を整えることや、関係者が事前協議して代行輸送をすぐに立ち上げられるよう準備しておくことなども要請した。

貨物輸送ネットワークを公共インフラとして維持していくための費用負担についても、関係者間で協議を進めることを提言。貨物輸送の依頼方法や料金体系などをより分かりやすく広報していくことなども列挙している。

(藤原秀行)

政策カテゴリの最新記事