物流施設の大量供給影響、「市場は多極化・混沌となる」が最多

物流施設の大量供給影響、「市場は多極化・混沌となる」が最多

一五不動産情報サービスが不動産業界関係者にアンケート調査、楽観的な見方も多く

工業用不動産に特化した不動産調査を手掛ける一五不動産情報サービスは8月19日、不動産業界関係者を対象とした物流施設の不動産市況に関するアンケート調査結果を公表した。

この中で、東京圏では今年から2023年にかけてハイペースの供給が見込まれていることを受け、物流施設の大量供給が市場に与える影響について質問。「立地や物件のクオリティによる格差が拡大し、多極化し混沌とした物流不動産市場となる」を選んだ向きが最も多かった。

半面、選択肢の中で悲観的な見方より楽観的な見方を選んだ人がやや多かった。不動産業界の関係者の間で先行きへの見方が分かれていることをうかがわせた。

一五不動産情報サービスは「物流施設の大量供給によるマイナス面はあるものの、市場全体としては肯定的に評価している市場参加者も多く、市場全体の方向感は読みにくい」と解説。同時に、「“多極化”や“混沌”は今後のマーケットを示唆するキーワードになると考えられる」との見方を示した。

調査は不動産にかかわる実務家・専門家(物流分野の関与は問わず)を対象に、今年7月に実施。97人が回答した。

調査結果によると、大量供給の影響を尋ねた結果(複数選択可)、「立地や物件のクオリティによる格差が拡大し、多極化し混沌とした物流不動産市場となる」が60回答で最多。一方、先行きを楽観視する「堅調な物流ニーズを背景に、均衡した需給動向が続く」が36回答、悲観的な「玉突き移転で中小・築古倉庫の空室が増える」が33回答で続いた。

そのほか、「物流拠点の拡張や移転が増え、物流不動産市場が活性化する」と「空室増による需給悪化で、賃料相場が弱含みとなる」がそれぞれ26回答、「堅調な物流ニーズを背景に、2024年以降も大量供給が続く」が9回答、「需給悪化の懸念から2024年以降に竣工する開発プロジェクトが急減する」が6回答となった。

一五不動産情報サービスは、先行きに楽観的な回答数は計71、悲観的な回答数は計65と集計した。


調査結果(一五不動産情報サービス資料より引用)

(藤原秀行)

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