長距離輸送見直し、農業を持続可能に
Hacobuは8月25日、トラック輸送における取引環境・労働時間改善に向け、秋田県トラック協会や国土交通省などが進める「首都圏向け青果物の物流効率化実証実験(9月4~10日)」に参画すると発表した。
Hacobuは2021年度の実証実験に引き続き、2回目となる。
21年度の成果を踏まえ、22年度は実証実験の対象範囲を拡大。秋田の農業を持続可能な状態にすることを目的に、秋田県トラック協会、国交省ほか多様なステークホルダーと連携し、サプライチェーン全体の最適化へ首都圏向け成果物の物流効率化早期実現を図る。
(Hacobu提供)
「首都圏向け青果物の物流効率化 実証実験」概要
日程:2022年9月4日(日)~10日(土)
実証実験対象:秋田県~首都圏(各市場)間のトラック輸送
実証内容:物流効率化に向けて以下の取り組みを進める。
(1)生産者の取り組み(生産者出荷量の事前把握)
(2)各JA内での出荷物集約
(3)隣県を含めた出荷体制の連携
(4)首都圏市場への取り組み
参加団体:
■主な協力荷主、運送事業者様
全国農業協同組合連合会 秋田県本部
全農物流株式会社 秋田支店
羽後運輸株式会社
川連運送株式会社
■トラック輸送における取引環境・労働時間改善秋田県協議会 事務局
東北運輸局 秋田運輸支局
秋田労働局 労働基準部監督課
公益社団法人秋田県トラック協会
■アドバイザリーボード
国土交通省 自動車局 貨物課
国土交通省 東北運輸局 自動車交通部 貨物課
■実証実験オブザーバー
秋田県産業労働部 商業貿易課
■実証実験コンサルタント
株式会社Hacobu
秋田県の首都圏向け青果物輸送は、県内の各JA集出荷拠点間の距離が長く、集荷に時間を要する上、納品先の首都圏卸売市場まで600キロメートルを超えるため、ドライバーの1日の拘束時間が長時間に及んでいる。
ドライバ―の長時間労働規制が強化される「2024年問題」を前に、長距離輸送を持続可能なものとするため、秋田県トラック協会は2019年に「秋田の未来の物流を考える協議会(現秋田未来物流協議会)」を立ち上げ、早くから問題解決に向けた議論を進めてきた。
昨年度(21年11月)に実施した実証実験は、県トラック協会がドライバーの負担を軽減し秋田の農業を持続可能な状態にすることを目的に、青果物の首都圏輸送のハブ拠点(中継点)を設け、集荷輸送と幹線輸送を分離。その結果、長距離トラックの労働時間は約25%、トラックの総活動時間は約22%減少し、ドライバー1人当たりが創出する付加価値が約30%向上する成果を確認できたという。
22年度は、昨年度の実証実験の成果を踏まえ、生産者からの集荷と着荷主の首都圏市場をスコープに含め、サプライチェーン全体の最適化を目指す。青果物の首都圏輸送の集荷輸送と幹線輸送の分離による、ドライバーの長時間労働の回避および車両運行の効率化を目指すのに加え、生産者・他県・首都圏市場も新たに巻き込み、物流課題の解決に挑む。
Hacobuは独自開発のアプリケーションを活用して車両の経路、位置情報、運行時間を把握し、最適なルートの構築、実績管理を行うことで輸送の効率化をサポートする。
実証実験の対象範囲(2022年度および2021年度)
実証実験の取り組み内容(現状および実証実験時の比較)(いずれもHacobu提供)
(藤原秀行)