「中食」需要伸び考慮し3温度帯で保管~発送効率化、温室効果ガス排出削減も図る
吉野家とヤマト運輸は9月12日、吉野家の直販・卸向け外販事業における流通スキーム再構築に向けた合意書を同日付で締結したと発表した。
「冷凍牛丼の具」をはじめとする吉野家の個食用冷凍食品の保管から発送までを、ヤマトの3温度帯物流ネットワーク上で一元的に展開し、オペレーションを効率化。出荷能力を拡大するとともに、サプライチェーン全体における温室効果ガス排出量削減を図る。
吉野家公式通販ショップを含む直販サイト全5店舗では、8月17日からヤマトが参加した新たな物流スキームで運用しており、卸向けは2023年2月に運用を開始する予定。
新型コロナウイルスの感染拡大やライフスタイルの変化により、弁当や総菜などを自宅で食べる「中食」の需要が高まっており、2021年度の吉野家の外販事業売り上げは18年度比の2倍に到達。吉野家は旧来、直販・卸部門ごとに委託業者を選定し、物流管理を行ってきたが、70種類以上に及ぶ複数温度帯の商品管理やセット組みなど、増加するニーズに迅速に対応するため、流通スキームを効率化することが強く求められていた。
ヤマトの力を借り、外販事業の流通を抜本的に変革。全国の拠点と輸配送ネットワークの円滑な結合や、デジタル情報の可視化を通じて、在庫の適正化やスピード納品、輸配送コストの削減などを実現していきたい考え。
構築した外販流通スキーム
ヤマトの物流インフラを最大限生かすことで、多様なセット組みや賞味期限コントロールなど、複雑な出荷作業に要する時間を確保するとともに、作業オペレーションを効率化して出荷キャパシティを強化。加えて、従来の倉庫と物流ターミナル間の輸送で発生していた温室効果ガス排出量を削減するとともに、従来行っていたオーダー前の事前ピッキングやセット組みをなくし、余剰分の食品・資材のロスを削減できると見込む。
(藤原秀行)※写真はいずれもヤマト運輸と吉野家提供