【快調連載!】二代目物流社長の“アタマ”のなか(第8回)

【快調連載!】二代目物流社長の“アタマ”のなか(第8回)

業界のイメージについて 日東物流・菅原拓也代表取締役

千葉県四街道市の物流企業「日東物流」の菅原拓也代表取締役によるロジビズ・オンライン独自連載。第8回は自身が属する物流業界が世間に持たれているイメージについて、今一度、考察してみました。

とかくマイナス面ばかりフィーチャーされることが多い物流業界ですが、当事者の1人として、どう感じているのでしょうか。率直に胸の内を語ります。


菅原代表取締役(日東物流提供)

これまでの連載はコチラから!さあ復習しましょう!

実態と世間のイメージが、悪い意味でズレている

突然ですが、物流業界のイメージに関する調査結果によると、世間からは“マイナス面は沢山あるけど、プラスの面はあまり感じない”、なんて思われているようです。

うーん・・・となれば、人材不足も納得できますよね。
だって「魅力がない」って、思われちゃってるんですもん。

“トラックドライバーは高給取り”みたいな、強烈なプラスのイメージが付いていた時代もありましたが、今では長時間労働に加えて、低賃金の代表ともいえる職種になってしまっています。さらに「2024年問題」に代表されるように長時間労働が規制されれば、さらに給料が下がるわけで・・・。まさに負のスパイラル!!

またメディアなんかでは、緑ナンバーのトラックの重大・死亡事故数が年々減少しているにも関わらず、緑か白かの区別もせずにトラック事故を報道したりするので、運送会社がしょっちゅう事故しているような印象を持たれちゃってますしね(個人の感想です)。

そんなこんなで、世間での物流業界やトラックドライバーのイメージって、昔のまま止まっているような気がします。ブラック、怖そう、きつい、臭い、きたな・・・おっとこれ以上言うと悲しくなってくるので言いませんが、概ねこんな印象を持たれているのは間違いありません。また、先日ネットで炎上した、某新卒向け就活サイトが公開した「底辺の仕事ランキング」で、トラックドライバーがランクインしていたことからも、そのイメージの悪さが窺いしれます。

でも、僕たちは知っています。ここまでひどい業界ではないってことを!
20年前と比べて飲酒運転は減りましたし、誰もしていなかった(言い過ぎ?)シートベルトだって、今じゃみんなしています!運行管理だって高度化していますし、そんな、“酒だ、タバコだ、喧嘩だ、女だ、ギャンブルだ!!”なんて威勢の良かったドライバーさんは、今じゃマイノリティーなハズ(たぶん)。

そして、意外にと言ってはなんですが、他業界の方にトラックドライバーの仕事や管理、教育、装備などについて話をしてみると、結構驚かれることが多いんですよね、良い意味で。

デジタコで、速度や回転数、立ち寄った先の住所や滞在時間、燃費、拘束時間、実車距離などが、しっかりデジタル管理されていることや、最近のトラックの安全装置が乗用車並みであること、ずっと前から業界ではアタリマエのインターバル休息や安全教育なんかについても、「そこまで徹底してるんだ!」と驚かれます。

アルコール検査に至っては、10年程前、某日系航空会社の友人と話をしていた際、パイロットのアルコール検査よりも、よっぽどトラックのアルコール検査の方がきちんと実施されてる!と驚かれたくらいです(その後、パイロットのアルコール問題で大きく改善されたとは聞いています)。

こういった回りの反応を見る限り、物流業界の実態と世間の持っているイメージが、悪い意味でズレていると思うんですよね。そして、このギャップがなくならない限り、業界の根本的な問題である人手不足の解消なんて、ムリだと思います。

業界やトラックドライバーのイメージを変えるには、社会に正しい情報を伝えることが重要で、そのためには正しい情報を発信するスキルが必要です。それが出来なければ昔の悪いイメージのまま、変わることはありません。テレビや映画で描かれるトラックドライバーって、いまだに昔のイメージの場合って結構多いですよね?

だから僕たち日東物流は、ちょうど2年前からこうしたギャップを埋め、業界イメージを良くしたいとの想いから、積極的に広報活動を展開してきました。

でも、ひとつの企業だけが頑張っても、出来ることは限られてしまいます。
国や自治体、業界団体との連携はもちろん、もっと多くの企業が声を上げ、手に手を取り、協力し合いながら、正しい情報を社会に伝えていくことが出来れば、イメージや見られ方も変わり、物流業界に魅力を感じてくれる方も、まだまだ増えるんじゃないかって、思います。

さぁ、一緒に業界のイメージを、変えていきませんか?

(次回に続く)

日東物流twitter:@nittobutsuryu

菅原拓也氏(すがわら・たくや)
大学卒業後、大手運送会社などを経て2008年、家業である日東物流に入社。2017年9月、代表取締役に就任。コンプライアンスの徹底や健康経営の実践を通して企業体質の健全化のみならず財務体質を強化させる経営手法が評価され、千葉県の物流企業として初めて、経済産業省の認定する「健康経営優良法人」に選出されているほか、リクルート主催「GOOD ACTIONアワード」を受賞するなど、物流業界で注目を集めている。

全国中小企業経友会事業協同組合が9月8日に主催した運送業向けセミナーに出席、講師として登壇した菅原氏。「魅力ある運送業を目指して ~コンプライアンスを遵守しながら、業界異例の利益率6%はなぜ可能か~」と題した今回のセミナーで、具体的に取り組んできた事例を紹介した(写真は日東物流提供)

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