日野・小木曽社長が会見、「経営陣が率先垂範で全社変革を遂行」と強調
日野自動車の小木曽聡社長は10月7日、エンジンの排出ガスや燃費の性能に関する認証で不正行為を長年続けていた問題を受け、国土交通省へ再発防止策を提出したのに伴い東京都内で記者会見した。
小木曽社長は問題発生の背景として「経営が現場に寄り添えず、法令順守や健全な企業風土の醸成がおろそかになった。あるべき『クルマづくり』を見失い、型式指定の申請プロセスにおいて不正を長く続けてしまった」などと説明。「その結果、お客様をはじめとしたステークホルダーの方々に多大なご迷惑をお掛けしたという経営としての責任を重く受け止め、猛省している」と謝罪した。
その上で「経営、職場風土、クルマづくりという3つの大きな問題があると認識している。真摯な反省を基に、二度とこのような不正を起こさない会社に生まれ変わる。社長の私自身をはじめとする経営陣が率先垂範で全社の変革を敢行していく」と、再発防止先の推進に全力を挙げる姿勢を強調した。
会見に臨む小木曽社長
また、過去の経営陣に対して役員報酬の一部を自主返納するよう求めていくことに関し、対象者が11人に上ることを明らかにした。具体的な相手や要請している返納額などの詳細については言及を避けた。要請相手は下義生前社長らとみられる。
取締役3人が辞任したことについては「これだけの大きな問題が起きていた時に、(問題の所在を)見つけたり対策したりできなかった責任を鑑みた」と理由を説明。小木曽社長が続投した点については「社長就任が昨年6月で、問題への対応を進めている時期だった。タイミングも考慮した。私自身はステークホルダーにお掛けしているご迷惑を少しでも早く小さくするため陣頭指揮していくべきで、これが責任を果たすことになると考えた」と語った。
一方、新旧経営陣が不正へ直接関与した可能性については「問題を再度検証した結果、関与はなかった。法的な責任は生じていない」と明言。独立調査委員会の報告書が不正に関与したと結論付けた従業員への対応を問われたのに対しては「今後より慎重に検討して対応を決めていく」と話した。
不正の発覚に伴い、大量生産に不可欠な型式指定を取り消されたエンジンの指定再取得のめどについては「国交省さんが決めていくことなので、指導に従って対応する。私どもから日程を申し上げるのは難しい。スケジュールを申し上げる立場にない」と述べるにとどめた。
(本文・藤原秀行、写真・中島祐)