4大都市圏中心に供給、コロナ禍でも積極姿勢持続
ロジビズ・オンラインが主要な物流施設デベロッパー22社を対象に実施したアンケート調査の回答を集計したところ、2022年9月~23年12月の1年余りの間に竣工を予定しているマルチテナント型物流施設(一部は竣工済み)は、計画を公表している21社のトータルで97棟、総延べ床面積が約627万600平方メートルに達することが明らかになった。
新型コロナウイルスの感染拡大やエネルギー価格の上昇など厳しい経済下でもeコマースの需要拡大などを追い風に、各社の積極的な開発姿勢が続く見通しとなっていることがあらためて裏付けられた。ただ、今後は建築コスト高騰が工事のスケジュールなどにどの程度影響するかが懸念される。
アンケートは今年8~9月にかけて実施。各社の回答を集計した。物流施設は複数社が共同開発している場合も1棟としてカウントしている。各施設の延べ床面積は詳細に回答している企業と概数で答えている企業に分かれているため、合計する際は100平方メートルで四捨五入して統一した。また、一部企業は賃貸可能面積のみ答えているため、その場合は賃貸可能面積を計算対象とした。
全て回答時点でのデータのため、施設の名称や竣工のタイミング、延べ床面積などは変更となる場合がある。また、回答しているもの以外にも検討中の案件が存在している可能性がある。
首都圏は10万㎡超が12棟、大型物件ニーズ見込まれる
22年9月~23年12月の間に完成する予定のマルチテナント型物流施設(一部は竣工済み)のうち、首都圏は東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城の1都4県で19社がプロジェクトを展開しており、トータルで61棟、計約426万3900平方メートルに上っている。総延べ床面積ベースで全体の6割強に相当する。
10万平方メートルを超える大規模施設も、ESRが横浜市で進めている「ESR東扇島ディストリビューションセンター1」(約34万9600平方メートル)を筆頭に12棟で、大型物件のニーズが引き続き見込まれている。
首都圏で案件を手掛けているデベロッパーのうち、最も多いのは大和ハウス工業が12棟。その後は日本GLPが9棟、ESRとオリックス不動産、プロロジス、三井不動産が各4棟、シーアールイー(CRE)と東急不動産、東京建物、野村不動産が各3棟、KICデベロップメントと住友商事、三菱地所(うち1件は日本生命との共同開発)、ロジランドが各2棟、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド・アセットマネジメント(C&W)とグッドマンジャパン、ジーエルアール(GLR)インベストメント、三井物産都市開発が各1棟と多彩な顔触れだ。
近畿圏は大阪、兵庫、京都、奈良、滋賀の2府3県で16棟、約75 万5100平方メートルで、21年度より開発ペースが加速した印象だ。首都圏と同じく大和ハウス工業が最も多く4棟。C&WとCRE、東京建物(うち1件はセンターポイント・ディベロップメントとの共同開発)、日本GLPが各2棟、オリックス不動産と住友商事、野村不動産、ラサール不動産投資顧問が各1棟となっている。
中部圏は愛知、三重、静岡の3県で6棟、約77万1000平方メートル。大型物件が予定されているため、規模では近畿圏を上回っている。大和ハウス工業が2棟、ESRとCRE、三井不動産、ラサール不動産投資顧問と東急不動産の共同開発案件が1棟ずつ。ラサール不動産投資顧問と東急不動産が建設を進めている施設は35万5100平方メートルで、中部圏では過去最大規模になるとみられる。
九州圏は福岡県で3棟、約18万2600平方メートル。ESR、日本GLP、野村不動産が1棟ずつ。大消費地・福岡の郊外での開発が増えている。
4大都市圏以外のエリアでは11棟、約29万8000平方メートル。このうち9棟は大和ハウス工業で、都市部と並行して地方エリアで積極的に開発する同社の姿勢があらためて浮き彫りとなった。残りはプロロジスと日本GLPが1棟ずつ。分布は北海道、岩手、宮城、福島、富山、新潟、長野、岡山、広島、沖縄となっている。
(藤原秀行)