プロペラやソナーも検討、年内めどに政令で指定へ
政府は、今年5月に国会で可決、成立した経済安全保障推進法に基づき、民間企業による安定供給を後押しする「特定重要物資」の対象に、エンジンなどの船舶用機器を加える方向で最終調整に入った。日本の物流の根幹を成す海上輸送に不可欠な機器類の供給が途絶しない環境を作ることが急務と判断した。
10月13日に自民党が開いた経済安全保障に関する会合の席上、政府の担当者が対象候補となっている物資を説明した。政府は調整を進めた上で、2022年中をめどに対象物資を政令で指定する見通し。
特定重要物資は、企業が対象の物資に関し、災害や感染症拡大などの事態が起きても供給が途切れないようにするための施策を盛り込んだ計画を策定。所管官庁が認定すれば、対象物資の生産や開発、リサイクルに対して補助金や政府系金融機関による低利融資などの財政支援を受けられる。
政府は、特定重要物資の候補の中で船舶関連の機器類を挙げている。現時点では船舶用のエンジンやプロペラ、安全な航海に欠かせないソナーを含めることを想定しているもよう。他には航空機の部素材も検討している。
政府が9月に閣議決定した特定重要物資に関する基本指針では、指定する要件として「国民の生存に必要不可欠」「供給先が過度に国外へ依存している」「供給が途絶する可能性がある」「安定供給確保の取り組みが特に強く求められる」ことを設定している。政府は半導体や蓄電池、液化天然ガス(LNG)、抗菌薬、肥料なども指定することを検討しているとみられる。
(藤原秀行)