ヤマトHD・栗栖副社長、配送効率化など構造改革の効果現れが当初想定よりずれ込みと説明

ヤマトHD・栗栖副社長、配送効率化など構造改革の効果現れが当初想定よりずれ込みと説明

宅配は「ECの伸びに少し落ち着き感」

ヤマトホールディングス(HD)の栗栖利蔵副社長は11月7日に開催した2022年9月中間決算の電話会見で、現行の中期経営計画「Oneヤマト2023」に沿ってグループ全体で進めている配送効率化などの構造改革の進捗状況を説明した。

この中で、荷物の取扱量が伸びているECの物流網再編など「ネットワーク・オペレーション構造改革」に関しては、第2四半期(7~9月)にEC専用のデリバリーセンターを新たに埼玉県三芳町と東京都品川区の2カ所のエリアに新設し、取扱量増大への対応と配送業務効率化を図っていると解説。営業拠点の集約に関しても、今年3月末から9月末にかけて全国で85拠点を減らしたことなどに言及した。

また、大型ターミナル間など「幹線輸送」の領域で、業務量に応じた外部のパートナー企業への発注が定着してきたことなどを成果として挙げた。


栗栖副社長(2019年撮影)

栗栖副社長は「基本的にはやるべきことをしっかりやれていると思う。拠点の整備を含めて(構造改革に)取り組み始めているので、次の成長に向けて進捗を図れている」との見解を示した。

同時に、「構造改革の効果が出るのに時間を要している。実績値で見ていくと第2四半期から上がり始めており、第3四半期(10~12月)、第4四半期(23年1~3月)で効果を出していけるのではないか」と指摘。構造改革の効果が出るのが従来想定よりずれ込んでいることが、23年3月期の連結営業利益予想を下方修正した一因になったとの見解を明らかにした。

23年3月期の設備投資については、従来計画していた1000億円から700億円に引き下げたと公表。世界的な半導体不足による車両調達の遅れや、マテハン設備を大規模なものから業務量の増減へ臨機応変に対応できるものに切り替えていることなどが背景にあると語った。

宅配の需要動向に関しては「新型コロナウイルス禍におけるECの伸びが、少し落ち着き感があると見ている。フリーマーケットの取り扱いも若干(勢いが)弱まっている。下期の伸びについては少し抑えた形で予想をしている。決して数量が減っているということではなく、堅く見積もった」と説明。

人手不足の現状を問われたのに対しては「地域によって差があるが、全体では(ドライバーの)確保が非常に困難な状況にはなっていない」と述べた。

(藤原秀行)

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