オフィス面積2倍に、対象業種も製造業や小売業広範カバー目指す
DHLサプライチェーン(SC)は、東京都品川区八潮の「東京物流センター」内に構えている、顧客から受託している輸配送サービス全般の管理を担う“司令塔”的拠点「コネクテッド・コントロール・タワー」(CCT)の機能を拡充した。
オフィスの面積を従来の約2倍に相当する約100㎡に拡張するとともに、CCTの取り扱い対象となる業種も広げ、より多くの業界がDHLSLの輸配送サービスを使いやすくなるよう配慮。人員もこのほど増やした。11月16日に現地で記念式典を開催した。
CCTはDHLサプライチェーングループが2019年以降、主要国・地域に順次設置し、顧客ごとにリアルタイムで輸配送の状況を監視するとともに、顧客の物流業務が抱える課題をあぶり出し、具体的な改善策を提案・実行するところまで踏み込んでいる。日本では2021年9月にオープンさせた。
温室効果ガス排出削減に向けた輸配送の効率化など、顧客の課題解決により密着したサービスの需要が高まっているのに対応する。SDGs(持続可能な開発目標)重視の流れにも対応できる拠点として、さらに荷主企業の注目を集めそうだ。
CCTの内部
CCTは輸配送を担う各トラックの現在地や走行履歴など、一元管理の各過程をシステム上で完全に可視化しているため、顧客は輸配送のプロセス全体を見渡して状況を把握、納品順守率や積載効率といったKPI(主要業績指標)の現状を確認できる。輸配送領域の購買など管理も担当。併せて、CCTに常駐する専門知識を持ったスタッフがビッグデータ分析に基づくプロセスやコストの最適化、輸送計画の策定などにも深くタッチしている。
現場の管理と各顧客に合った業務効率化のソリューション開発・提供という中軸の機能がCCT内で共存することで、顧客の収益や物流拠点数、取り扱いアイテムの増減といった事業面の変化へ迅速に対応できるようにしているのが大きな強みだ。
管理とソリューション開発のスタッフが同席
このたび、オフィス面積を広げ、顧客向けにCCTが担う役割のプレゼンテーションなどを行えるスペースを新設。顧客に対してCCTの存在価値をより詳細に伝えられるようにした。また、これまでCCTが対応してきた、精密機器といった「テクノロジー」や一部の「コンシューマーリテーラー」に加え、他の製造業や小売業にも照準を合わせ、CCTの利便性を訴えていく方針。
CCTは既に人員を対象業界の拡大に備え、昨年9月の稼働開始時の約30人から既に10人増やしたが、今後さらに人員を20人ほど増員させることを視野に入れている。
プレゼンテーションなどを行えるスペースを新設、情報発信能力を強化
DHLSCのジェローム・ジレ社長兼日本・韓国CEO(最高経営責任者)は「これまでのCCTの働きには非常に満足している。拠点の拡張でさらに機能を発揮していってもらいたい」とコメント。CCTを司るDHLSCトランスポート ディベロップメント&プランニング ネットワークオペレーションの松島重雄ディレクターは「カーボンニュートラルを目指す動きが強まっていることもあり、輸配送可視化のニーズはますます高まっている。当社は共同配送などで実績も重ねてきている。広範囲にわたるお客様の効率化・可視化のご要望にお応えしていきたい。そのためにCCTの機能を今後も強化していきたい」と語った。
CCT拡張を祝うジレ社長(左から3人目)、松島氏(右端)らDHLSCのメンバー
片隅に自転車をこいでスマートフォンを充電できる展示も。SDGsを体験しよう!
(藤原秀行)