総じて改善、先行きは燃料や電気代高騰で予想厳しく
日本銀行が12月14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(今年9月)から3ポイント上昇しプラス17だった。
中堅企業は9ポイント上昇しプラス1、中小企業も7ポイント上昇しマイナス2だった。前回調査時に続き、全ての業態で景況感が改善した。
中でも中堅企業は新型コロナウイルス感染拡大前の2019年12月(プラス11)以来、小幅ながら3年ぶりにDIがプラス圏へ浮上した。
DIはコロナ禍による経済情勢悪化で、一時はリーマンショック後の不景気に見舞われていた2009年当時の低水準まで悪化したが、その後は新規感染者数の減少で経済活動が再開されているのを受けて持ち直しの基調が続いている。12月は行動制限が緩和され経済活動が戻っていることが景況感の改善を下支えしたとみられる。
ただ、先行きの見方に関しては、大企業がプラス5で12月の結果より12ポイント低下しているほか、中堅企業はマイナス4で5ポイント低下、中小企業はマイナス4で2ポイント低下。燃料費や電気代の高騰が解消する兆しが見えないことなどが今後の展望を厳しくさせているもようだ。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9235社が調査対象で、回答率は99.4%だった。
全産業ベースの業況判断DIは大企業製造業が前回調査から1ポイント低下しプラス7、大企業非製造業は5ポイント上昇しプラス19だった。
(藤原秀行)