「船舶戦争保険」、大手損保が年明け以降も引き受け当面継続へ

「船舶戦争保険」、大手損保が年明け以降も引き受け当面継続へ

海外の再保険会社と交渉進展

東京海上日動火災保険と損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険の大手損害保険会社3社が、ロシアの領海全域で、戦争で受けた船舶の損害を補償する「船舶戦争保険」の引き受けを2023年1月1日以降も当面、継続する見通しとなったことが分かった。

3社はロシアが今年2月にウクライナへ侵攻してから戦闘が長期化して終わる見通しが立たず、保険会社の保険金支払いを支援する海外の再保険会社がロシア関係のリスクを引き受けることから手を引く方針を表明したため、一時は船舶戦争保険の引き受けを年内で停止する方針を固めていた。

しかし、引き受けがストップすると、海外からのLNG(液化天然ガス)などの輸入に支障が出る恐れがあるため、経済産業省資源エネルギー庁や金融庁が再考を要請していた。

3社は再保険会社と交渉した結果、ロシア関係のリスク引き受けを得られる方向となったため方針を転換し、船舶戦争保険を継続する意向を固めた。

ただ、再保険会社がリスクを引き受ける額は以前の半分強にとどまっているとみられ、3社は引き続き、再保険会社とリスク引き受け額の積み増しを求めていく構え。従来ほどリスク引き受け額を確保できない場合、LNG輸送を担える船舶数が絞られる可能性がある。

(藤原秀行)

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