架空企業のROI改善に挑む「世界SCM競技会」、22年は日立物流が日本勢過去最高の3位入賞

架空企業のROI改善に挑む「世界SCM競技会」、22年は日立物流が日本勢過去最高の3位入賞

シミュレーションソフト使った“バーチャル経営”で成果

SCM・サプライチェーンに関する人材教育を手掛けているオランダのInchaingeが主催し、世界中の企業が参加して架空企業の経営改善に挑むコンテスト「世界SCM競技会(Global Professional Challenge)」の決勝が2022年11月14~17日に開かれ、日立物流のチームが日本勢としては過去最高となる3位に入賞した。

同社としても、20年の5位を上回るベスト記録となった。Inchaingeの発表によると、日本勢はほかに江崎グリコが7位、ビジネスエンジニアリングが13位、NX総合研究所が19位に入った。江崎グリコは初参加だった21年の10位から順位を上げた。

ベスト20には他にもジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、ハイネケン、PwC(プライスウォーターハウスクーパース)といった有名な企業の名前が見られる。

世界SCM競技会は参加したチームのメンバーが自身のビジネス上の経験や知見を生かしながら、架空企業の営業、調達、オペレーション(製造、倉庫)、サプライチェーンをそれぞれ担当。Inchallengeが独自に開発したシミュレーションソフトを駆使し、物流の効率化や在庫の適正化、販売促進などをバランス良く進め、いかにROI(投下資本利益率)を最大化できるかを競い合う。

実践的なプログラムを通じ、経営とSCMの重要性を学び取ってもらうのが狙いで、例年300を超える企業のチームが参加。シミュレーションソフトを活用した教育プログラムのTFC(The Fresh Connection)はSCM普及に努める国際団体APICS(American Production and Inventory Control Society)も認定しており、米国の著名な経済誌Fortune(フォーチュン)が選出している世界の収益が大きい主要企業「Fortune Global 500」の製造業トップ100社のうち4割が採用するなど、欧米を中心に普及が進んでいる。

プログラムはどのように行動すればROIを上げられるか、具体的に明示されないため、競技会の参加チームは連携しながらバランスの取れたSCM展開に総力を挙げることが不可欠となっている。22年の決勝では、ともに中国で橋梁や道路など交通インフラの設計・建設を手掛ける中国交通建設(CCCC)系のエンジニアリング会社Third Harbor Engineeringが1位でROI41.50%、China Harbor Engineeringが2位で38.09%と驚異的な高率を達成した。日立物流も27.32%と健闘し、最終日に3位へ躍り出た。

(藤原秀行)

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