一五不動産情報サービスの今年1月調査
一五不動産情報サービスは2月28日、今年1月時点の賃貸物流施設市場動向に関するリポートを公表した。
関西圏の空室率は7・1%となり、前回(2018年10月)の9・6%から2・5ポイントと大きく低下。5四半期連続で下がった。大量開発などの影響で厳しい市場環境が長らく続いていたが、1年以上にわたって需給バランスの改善が継続している。
関西圏の空室率の動向(一五不動産情報サービス資料より引用)※クリックで拡大
同社は18年10月~19年1月に完成した物件について、プロロジスの「プロロジスパーク京田辺」(京都)や関電不動産開発の「茨木物流センター再開発プロジェクト」(大阪)など計3棟がいずれも満床で稼働したと指摘。
ラサール不動産投資顧問が取得した「ロジポート尼崎」(兵庫)も契約率が50%を超えるなど、「空室期間が長引いていた既存物件の稼働率が向上していることも継続的な需給改善につながっている」と分析した。
1坪当たりの募集賃料は3460円で、前回から横ばい。今後については、空室率の高止まりに伴い開発が抑制されたことで、19年の新規供給は前年の半分以下となる約35万平方メートルにとどまるため、「賃料市況の改善がさらに進む」とみている。
東京圏は3%台まで低下
東京圏の空室率は前回調査時から2・0ポイント低下し3・3%だった。下がったのは18年7月以来、2四半期ぶり。
18年10月~今年1月の3カ月間の新規供給は34・1万平方メートルだったのに対し、新規需要は2倍近くの64・8万平方メートルに達し、需要の強さが継続していることをうかがわせた。募集賃料は4180円で、前回から40円(0・9%)の小幅下落となった。
同社は東京圏の市場に関し「19年は過去最大の新規供給となるため、今後空室率は上昇に向かうが、そのスピードは緩やかで需給悪化に陥る懸念は小さい」と分析している。
東京圏の空室率の動向(一五不動産情報サービス資料より引用)※クリックで拡大
調査は延べ床面積、敷地面積のいずれかが1万平方メートル以上の賃貸物流施設が対象。東京圏は東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県、関西圏は大阪、兵庫、京都の2府1県。調査対象は東京圏が378棟、関西圏が106棟だった。
(藤原秀行)
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