物流施設が最寄りの高速道路ICから駅から遠いほど、賃料へのマイナス影響大きく

物流施設が最寄りの高速道路ICから駅から遠いほど、賃料へのマイナス影響大きく

CBREリポート:大量供給で「借り手市場」に移行、例外ケースも可能性ありと指摘

シービーアールイー(CBRE)は1月16日、「首都圏大型マルチテナント型物流施設の立地と賃料水準」と題するリポートを公開した。

傾向として、最寄りの高速道路ICや駅から遠いエリアになるほど、ICや駅からの距離が賃料に及ぼすマイナスの影響が大きいと想定。また、ICから駅から距離が離れているエリアは総じて賃料の水準が低いと指摘した。

同時に、2023年は大量供給の傾向が継続し、賃貸物流施設が「貸し手市場」から「借り手市場」に転じたと推察した上で「立地によっては開発用地の取得価格や建築費の上昇を物件賃料に反映できない可能性があり、募集賃料と実際の成約賃料が乖離するケースが増えるだろう」と展望。ICや駅からの距離は物流施設の賃料を左右する要素ではあるものの、現下の大量供給の潮流では例外のケースが出てくる可能性があるとの見解を示した。

23年は90万坪超と過去最高規模に

リポートは首都圏の中でも物流施設が多く存在している国道16号の沿線エリアに着目。集計の結果、「最寄りのICからの距離と想定成約賃料を比較すると、両者には緩やかな負の相関関係があることが確認できる」との見方を明らかにした。

具体的には、最寄りのICから3km以内の立地では、距離の遠近が物件の賃料に与える影響は少ないのに対し、3km超の立地では距離が遠くなるほど賃料へのマイナス影響が大きくなると分析。最寄り駅から2km以内の立地よりも、2km超の方がICからの距離が賃料に強く影響するという。

CBREは「最寄りICや駅から遠い立地では、ICからの距離の賃料へのマイナス影響がより大きいと言えそうだ」と解説している。

また、首都圏の23カ所間で賃料水準を比較したところ、相対的に最も高いのは、都心立地の「江東区・江戸川区」「品川区・大田区」の両エリアで、物件は最寄りのICと駅の双方から近い。半面、 物件がICからとりわけ遠い「さいたま・春日部」と「八千代・印西」の両エリアは物件の最寄り駅からの距離は比較的近いものの、賃料水準は相対的に低いことが分かった。

また、「久喜・加須」「成田・芝山町」「常総・守谷」「つくば・阿見町」「古河・五霞」「川島・日高・坂戸」の6つのエリアは、物件の最寄りICからの距離は必ずしも遠くはないが、最寄りの駅からの距離が遠く、賃料水準が総じて低いと指摘した。

ただ、23年は現時点で90万坪を超える新規供給が見込まれ、借り手有利の市場になっているため、前述のような分析が必ずしも当てはまらないケースがあるとの認識をにじませた。

(藤原秀行)

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