首都圏の大規模マルチ型物流施設、竣工時稼働率が5年9カ月ぶり低水準に

首都圏の大規模マルチ型物流施設、竣工時稼働率が5年9カ月ぶり低水準に

CBREの22年第4四半期調査、空室率も2四半期連続上昇

シービーアールイー(CBRE)は1月31日、2022年第4四半期(10~12月)の大規模マルチテナント型物流施設の賃貸市場動向に関する調査結果を公表した。

首都圏の期末時点の空室率は5.6%で、前期(7~9月)から0.4ポイント上昇した。2四半期続けて上がった。第4四半期に完成した5棟がいずれも空室を残しており、竣工時稼働率(31%)が2017年第1四半期(1~3月)以来、5年9カ月ぶりの低水準になったことが影響した。

1坪当たりの実質賃料(共益費込み)は。新規供給の物件が賃料水準の比較的低い国道16号や圏央道のエリアだったため、4540円で前期から0.2%下がった。

CBREは「テナントがより選別的になる中で、神奈川方面など賃料水準が比較的高いエリアや、圏央道外側など都心から離れた立地の物件で引き合いが弱いようだ」との見方を示した。


(CBRE発表資料より引用)

「首都圏の空室率は一段と上昇」展望

22年の供給は合計で26棟、68.1万坪だったが、そのうち16棟が年末時点で空室を抱えたままだったという。

CBREは2023年の新規供給が約91万坪と年間ベースで過去最大に上り、そのうち第1四半期に3分の1超の約35万坪が集中して四半期ベースの過去最大を記録する見込みとなっていることに言及。「今後しばらくは需給の緩和基調が継続し、首都圏の空室率は一段と上昇するだろう」と展望している。

近畿圏の空室率は横ばいの1.7%。実質賃料も同じく、前期から変わらず4130円だった。CBREは「賃料は空室が長期化している地域では弱含みである一方、相対的に割安だった地域では底上げされた」と指摘している。

中部圏の空室率は前期の11.0%から今期は8.5%に2.5ポイント低下。実質賃料はプラス0.3%の3600円となった。特に製造業が集積する愛知県東部方面で上昇傾向が見られたという。

福岡圏の空室率は1.0%で、0.1ポイント上がったものの依然低水準を維持。実質賃料は3360円で前期から0.3%低下した。「賃料水準が低い立地で新規供給があった影響」(CBRE)という。

(藤原秀行)

物流施設/不動産カテゴリの最新記事