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「物流技術研究会」の改善事例コンテスト、第6回は大塚倉庫が総合優勝

「物流技術研究会」の改善事例コンテスト、第6回は大塚倉庫が総合優勝

宝グループのティービー、サッポログループ物流が部門賞獲得

飲料・食品メーカー系物流子会社7社で構成する「物流技術研究会」は3月2日、千葉県市川市の「トヨタL&Fカスタマーズセンター東京」で、物流現場の改善事例を発表して成果を競い合う「ステップアップコンテスト」を開催した。

第6回となる今年は各社から計12グループが参加。審査の結果、「パレット伝票電子化による業務効率化」に取り組んだ大塚倉庫(発表者・ロジスティクス本部の田村浩章氏)が総合優勝を果たした。

現業部門は率先して現場の安全確保を提案したタカラ物流システムのグループ企業ティービー(本社営業所・谷口豊氏)、内勤部門は働き方改革を推進したサッポログループ物流(名古屋支社・宮﨑愛氏)がそれぞれ部門賞を獲得した。当初は部門賞のみの予定だったが、優秀な事案が多くあったとの理由から、特別に総合優勝を設けた。


改善事例に聞き入るコンテスト参加者ら

各賞を受賞した(左から)宮﨑、田村、谷口の各氏※クリックで拡大

同研究会は安全や品質、環境などの情報を業界横断的に共有し、現場の業務改善を促進するため2007年に発足。アサヒロジ、大塚倉庫、キリングループロジスティクス、サッポログループ物流、サントリーロジスティクス、タカラ物流システム、バンテックが加盟している。コンテストは14年から毎年実施している。

コンテストの冒頭、研究会の町田慶太会長(サントリーロジスティクス)が「発表内容がうちでも使えるな、と思ったらぜひ持ち帰って気持ちの熱が冷めないうちに各社のやり方にカスタマイズしていただきたい。(発表内容を)さらに改善して各社独自の武器としていくような取り組みがコンテストを通じてできればありがたい」と聴衆に語り掛けた。


冒頭にあいさつする町田氏

来賓として、サントリーロジスティクスの井上達志社長があいさつ。「物流業界にフォローの風が吹いている。少なくとも値上げの相談ができるような環境になってきたし、物流業界そのものが脚光を浴びている。同時に、荷主にとっても値上げの代わりにいい物流品質を持つ物流会社さんと取引を拡大していきたいとの思いが強くなっている。物流の品質を上げきれない会社とは付き合わないと言われる時代がもうそこまで来ている。もっと日々の研鑽を深めていくことが重要」と訴えた。


聴衆に研鑽を呼び掛ける井上氏

フォークリフトの事故削減などで成果

現業部門は5グループが登壇。それぞれ以下のような内容を報告した。

▽アサヒロジ埼玉支店の恩田陽介氏

「事故費の削減」

フォークリフトの衝突などで関連費用がかさんでいた状況を重く見て、事故削減に向け拠点内の業務見直しに着手。パレット前の一旦停止や指差呼称の徹底などを図り、リフトの「愛車運動」も展開した。破損の損害を前年比8割カットすることに成功した。

▽サッポログループ物流の協力会社、モンリクの後藤輝行氏

「作業場の効率化」

センター内の出荷バースが狭いために死角が多く危険で、在庫のロケーションが分かりづらいなど安全面と作業効率面の双方で問題を抱えていた。そのため、庫内を整理整頓してスペースを有効活用し、ラックの数を減らして安全性を高めることができた。

▽アサヒロジグループのエービーカーゴ西日本吹田営業所の廣野友哉氏

「コンプライアンス違反の撲滅」

ドライバー拘束時間に関し、労働時間を管理表に記入させることでドライバー自身がコンプライアンス徹底の意識付けをできるよう工夫したほか、フェリーや高速道路の利用促進なども進めた。その結果、長時間労働を減らすことにつなげられた。

▽タカラ物流システムの協力会社、ティービー本社営業所の谷口豊氏

「ローリー積込場所の安全な誘導線」

宝酒造工場の製品積み込み場所にタンクローリーをバックで入れる際、駐車スペースが非常に狭く、こすったりしていた。物流会社が率先して安全対策強化を考え、バックで進入する際の目安となる補助線を地面に引くことを発案。採用され、トラブル回避につながった。

▽サッポログループ物流の協力会社、群馬ロジテムの荒山麻理氏、樋口奈緒子氏ら

「現場作業の見直し」

サッポロビールの販促物を扱うセンターで出荷前の段ボール組み立てなどの準備作業の際、時間がかかっていた点を問題視。スタッフの一部に、準備には携わらず作業をできるところから進めておく役割を担ってもらうようにして時間の短縮に成功。他にも細かい改善を積み重ねていった。

安全体感研修や営業所間連携などで改善

内勤部門は以下の7グループが登場した。

▽キリングループロジスティクス安全・品質・環境室の鶴田秀樹氏

「ドライバー安全体感研修」

現場での事故を防ぐため、協力会社も含めてドライバーやフォークリフトオペレーター、庫内スタッフが参加し、人形を用いながら過去の事例を忠実に再現して問題点を分かりやすく指摘する「安全体感研修」に注力。グループで4人のインストラクターが全国の拠点を回って指導している。

▽サントリーロジスティクス大阪支店の熊谷淳氏

「協力会社の安全意識の向上・洋酒保管の作業内容の改善」

協力会社の安全意識を高めるため、連携して現場を巡回、危険箇所を洗い出し、分かりやすく図示した「危険箇所マップ」を作成。さらに庫内の商品配置レイアウトを見直してルールを設定するなどした結果、出荷工数を前年実績から7%短縮するのに成功した。

▽大塚倉庫ロジスティクス本部の田村浩章氏

「パレット伝票電子化による業務効率化」

年間のパレット伝票使用が約33万枚に上り、負荷が掛かっていたため、現場で円滑に発着照合を行える電子化にチャレンジ。製品の補給や転送に関する物流で全体の8割程度まで普及させ、月当たり約1万2000枚の伝票削減を果たした。

▽キリングループロジスティクスグループのケーエルサービス九州福岡営業所の床嶋和雄氏

「3営業所間コラボ」

九州の3営業所間で連携し、フォークリフト操縦の研修で教官を派遣したり、ドライバー不足をカバーするため、トラック運転経験のあるフォークリフトオペレーターを応援に出したりと相互に業務効率化で協力。残業の削減などの効果を上げることができた。

▽タカラ物流システム本社総務部の中村里穂氏

「業務フロー分析~事務作業の改善~」

整備売掛金管理表の煩雑な業務を改善するため、フローを細かく見直し、売り上げの明細をCSVデータで出力可能にして関係者間で共有可能とするなどの変更に踏み切った。作業時間を1人当たり年間14時間減らすことにつなげられた。協力会社への賃貸料請求業務も効率化に成功した。

▽サントリーロジスティクス埼玉支店の三島由愛氏

「作業手順書の整備」

現場で作業ミスが相次ぎ発生していた状況を変えるため、手順書の整備に着手。図や写真を豊富に使って分かりやすくするとともに、現場スタッフの提案も積極的に取り入れた。汚破損の発生件数を前年から35%抑えられた。今後は半年に1回内容を見直すことにした。

▽サッポログループ物流名古屋支社の宮﨑愛氏

「働き方改革」

労働時間などの抜本的な見直しを実施。業務ごとにコアタイムを分散して従業員が自ら退社時間をコントロールできるようにするなどの変更に踏み切った。「トラックドライバーがまた来たいと思ってくれるようにしたい」との考えから、アンケート調査を実施して受付の対応などを改善することも進めてきた。

全ての発表が終わった後、タカラ物流システムの羽田寿文社長は「非常にレベルが高く、点差が付かず審査に苦労した。皆さん問題意識を持って取り組まれ、各社グループの強みも取り入れられた非常に特色ある発表となった。すごく参考になる部分が多々あった。日々の改善活動にぜひ生かしていただきたい」と総評を述べた。


総評を述べる羽田氏

表彰式後にキリングループロジスティクスの戸叶弘社長は「発表だけではなく、みんながまねをして取り入れ、全体として良くなっていくのが研究会の目的。全体のレベルアップに取り組んでいただきたい」と締めくくり、第7回のコンテストに期待を示した。


参加者をねぎらう戸叶氏

(藤原秀行)

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