【独自】年に一度、各界リーダーが集う「物流版ダボス会議」目指す

【独自】年に一度、各界リーダーが集う「物流版ダボス会議」目指す

Shippio・佐藤CEO、「Logistics DX SUMMIT2023」の継続開催と機能発展に意欲

Shippio(シッピオ)は3月2~3日、オンラインで大規模なカンファレンス「Logistics DX SUMMIT2023(LDS)」を初めて開催する。

国際物流とDXをメーンテーマに設定。物流業界はもちろん、シンクタンクやロボットメーカー、大学、IT企業、ベンチャーキャピタルなど様々な領域から知識や経験が豊富な“賢者”たちが集結。物流業界が直面する人手不足やデジタル化の遅れなどの諸課題にどうやって立ち向かうか、処方箋について活発にディスカッションすることを予定している。

登壇者の顔ぶれからして、一般的な物流関係のイベントからは想像もつかない、そして何か新しいことが始まりそうな期待を持てそうな内容だ。主催するShippioの佐藤孝徳CEO(最高経営責任者)に、LDS開催に込めた思いなどを聞いた。


取材に応じる佐藤CEO

既存プレーヤーとスタートアップが組む必要性を訴えたい

――今回のLDSですが、初日の冒頭に登場するDeNA(ディー・エヌ・エー)の南場智子会長をはじめ、顔触れが非常に多彩ですね。
「おっしゃる通り、既存の大手企業の方々が集まるというだけではなく、スタートアップや投資家、学識経験者といった方もいらっしゃいます。ESGの文脈でカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)の問題も取り上げます。こうした方々が一同に会して話し合うという場は、実はこれまであまりなかったんじゃないかと思っています。テーマもものすごく幅が広いですし、多くの方々に興味を持っていただけるんじゃないかなと思っております」

――そもそも、LDSを企画されたのはどういう経緯でしょうか。
「実は2年くらい前からずっとやりたかったんです。私は絶対にやるぞと思っていたんですが、新型コロナウイルス禍など様々なことがあり、オフラインであってもなかなかそうしたことができる機運が盛り上がっていませんでした。われわれがイニシアティブをとって話を進めたいということで今回、ようやく実現に至りました」

「物流をはじめ、日本の産業を変えていくために、単発ではなく、物事を決めていく権限や意思を持つ人たちが定期的に集まる場を設けたいと思っていました。重要なアジェンダをテーブルの上に乗せて、現状を変革し課題を解決するためにどこで協調するか、そして当然ならがどこで健全な競争をしていくか、といったことを年1回くらい話し合い、結論を発表するような場です。参加した方々が、いい話ができたね、来年また会いましょうと別れた後、それぞれが1年間頑張り、1年後にあのアジェンダについて話した結果の進捗はどうなっているか、あの仮説は正しかったのか間違っていたのかということを確認、検証し合う。そうしたお祭りのような場を作りたいということで、今回のLDSの企画に至りました。私は個人的には、『物流版ダボス会議』にしたいと申し上げています」

「LDSも一例を挙げれば、企業の方ですと鴻池運輸でDXを推進されている鴻池忠嗣取締役専務執行役員、ヤマト運輸で輸配送データ活用を担っておられる中林紀彦執行役員、邦船大手3社の定期コンテナ船部門が集結して発足したOcean Network Express(ONE)の塩見寿一バイスプレジデントといったそうそうたる方々が集まる予定です」

――ダボス会議は各国の政治や経済、社会など多様な分野のリーダーたちが連携し、世界が直面する問題の改善に取り組む非営利の国際機関「世界経済フォーラム」の年次総会の通称です。今回のLDSのメンバーやテーマを見ると、まさに言い得て妙な表現ですね。
「そう言っていただけるとうれしいですね。例えば、初日のキーノートにはDeNAの南場会長が出席されますが、DeNAの文脈というよりも、むしろ経団連の副会長のように日本の産業界を代表するお1人としての立場で、これからの日本の産業に求められる創造的新陳代謝について語っていただく予定です。2日目のキーノートはソニーベンチャーズの土川元社長が登壇されます。グローバルの投資責任者ですが、ソニーグループがハードウェアからコンテンツやソフトウェアにも注力する企業へ会社を再定義していく過程にも携わってこられました。大企業の中で組織の変革に携わるという貴重な経験をされています」

「DX先駆者から学ぶ、実践的DX組織論というテーマでは、先ほどもお話したヤマトの中林執行役員に加えて、ニトリグループの物流企業ホームロジスティクスでCIO(最高技術責任者)を務めたこともあるネバーマイルの深作慶太CEO、非常に優秀なエンジニアとしても有名なウルシステムズの漆原茂会長に出席いただきます。様々な企業のコンサルティングをされた経験などから、DXを推進しようとした場合にそもそもどういった旗振り役の組織を作ればいいのかといったように、先駆者がお持ちのDo’s and don’ts(すべきこととすべきでないことのリスト)もオープンにしていただき、みんなで話し合っていきたいと思っています」

「サプライチェーンや物流に関わっておられる方々が、LDSに参加することで、ああそういう視点があったのか、そういう視座があるのか、そういう失敗例があるんだ、といったように、何かしらを持ち帰っていただけるような2日間になるといいなと考えています」

――これだけのイベントを無料で開催するというのも思い切った決断ですね。
「完全に無料ですから、本当に太っ腹ですよね(笑)。その点も、産業の変革に貢献していきたいというわれわれのものすごく強い思いの表れなんです」

――登壇者の選定も佐藤CEOが自ら行ったのでしょうか。
「私が7~8割くらい、というイメージですね。いろんな方々とお話をしました。実は残りの2割くらいは、現場のオペレーションを担っている物流企業の方がご提案されたり、昔在籍されていた会社との関係で提案していただいたりといった形なんです。非常にありがたいことですね」

――いい意味で物流イベントらしくない視点が多く入っています。
「ワクワクしますよね。表現が適切ではないかもしれませんが、本当に異種格闘技というか、こういう対戦カードが見れらるんだという感じではないでしょうか、もちろん戦う場では全くありませんが(笑)。例えば、ONEの塩見バイスプレジデントとパワーエックスの伊藤正裕社長、それにゼロボードの渡慶次道隆代表取締役、ローランド・ベルガーの小野塚征志パートナーが並んで、カーボンニュートラル実現に向けた物流の役割についてお話をされるというのは、なかなか発想できないのではないでしょうか。われわれ自身も非常に楽しみながら準備をさせていただきました。本当にご協力いただけた方々には心から感謝申し上げたいですね」

――多岐にわたる分野から参加されるということは、皆さんそれぞれ、物流に対する危機意識をお持ちということなのでしょうか。
「危機といいますか、やはり皆さん、変革のペースを速めていきたいという思いがあるのではないでしょうか」

――先ほどお話されていましたが、今後も年1回、開催されますか。
「ぜひやりたいですね。まさに米アップルの新製品発表の記者会見のように、年1回、どのようなテーマで、登壇されている方がどういう話をされるのかを楽しみにするという場にしていきたいですね。それに、今年はスケジュールが合わなかったりして参加できなかった方に、次回は登壇したいと思っていただけるような場にしたいと思います」

――佐藤CEOご自身がLDSの中で、絶対にこれは訴えたいと思っていることはありますか。
「やはり、日本の中で産業の新陳代謝が進んでいかないと競争力は出てこないと思うんです。既存の大企業などプレーヤーと、旧来の発想にとらわれないスタートアップが組んでいくことで、産業の変革、アップデートを前に進めていけるのではないでしょうか。LDSでも既存のプレーヤーとスタートアップでお互い何ができるのか、という話はしていきたいですね。みんなが疑問を持っている点をテーブルの上に出して、解決すべきことは解決する方向に話を持っていきましょう、ということを2日間通してやっていきたい。それが一番のポイントです。そうした柔軟なイベントができることが、スタートアップの良さだと思っています。ぜひLDSで登壇される方々が打ち出す新たな世界観に触れていただきたいですね」

(藤原秀行)

経営/業界動向カテゴリの最新記事