郵便局屋上から住宅の玄関先まで、片道2km余りを5分で到達
日本郵便は3月24日、東京都西多摩郡奥多摩町で、ドローンを使った荷物配送のデモをメディアに公開した。
今回は国内で初めて、第三者の上空を含むルートを、補助者を置かずドローンが操縦者の目視外まで自律飛行する高度な「レベル4」を実施。この日は町内の「奥多摩郵便局」屋上から荷物を積み込んだドローンが飛び立ち、片道2km余りを5分程度で飛行して無事に住宅先まで届けた後、再び同郵便局に空路で戻った。
デモに使ったドローン
奥多摩郵便局
郵便局屋上から飛び立つドローン
ただ、この日は計2回、デモ飛行を行う予定だったが、2回目は着陸する住宅周辺で雨が降ったため、輸送を断念し、同郵便局屋上からいったん離陸した後、再び同郵便局に戻るデモ飛行だけにとどめた。
日本郵便は配送現場の人手不足などを踏まえ、2016年度以降、荷物配送へのドローン活用を検討。19年度からは実際に輸送する実験を重ねている。20,21年度には奥多摩町でも実証実験を行った。
日本郵便は今回のレベル4飛行の成果と課題を踏まえ、2023年度以降、小包の配送などに活用していきたい考えだ。
飛行後、メディアの取材に応じた日本郵便の小池信也常務執行役員は「今日は予定通り飛行を行うことができた。まず人口が密集していないエリアでドローンの活用を始めていきたい」とドローン配送の普及に意欲を見せた。
住宅などの上を飛んで郵便局屋上に戻ってきたドローン
住宅の軒先にドローンが着陸
配送時間を3分の1に短縮
レベル4は政府が昨年12月、改正航空法を施行し解禁した。日本郵便はデモに先立ち、国土交通省からレベル4の飛行承認を取得。ドローンはACSLがレベル4の飛行に必要な認証を国交省から得た機体を採用した。
デモでは同郵便局屋上から飛び立った機体が、人や車が通る道路や住宅の敷地などの上空を通過した後、山間にある民家の軒先まで無事に運んだ。ドローンに設置した箱には雑貨など約900gの荷物が入っていたが、特段トラブルはなかった。
当該の民家までは、現状では車両の配達で往復30分程度要していたが、3分の1の10分程度へ短縮できた。
自宅前で荷物を受け取った60代の男性は、以前の実証実験でも受け取り手となったことに触れ「だいぶ使い勝手が改善されてきた。荷物を受け取るのに加えて、ドローンで荷物を配送できるようになれば、もっと便利になると思う」と感想を語った。
(藤原秀行)