かんぽ生命との連携強化
日本郵便の次期社長に就任する予定の千田哲也かんぽ生命保険社長は4月21日、東京都内で記者会見した。
千田氏は2019年に発覚した保険商品の不正販売問題以降、経営が揺れ続けたかんぽ生命に言及し「全社員一丸となった努力により、将来を展望できる兆しが少し見え始めたタイミングで社長を交代することは大変残念な気持ちもあるが、日本郵政グループ全体のことを考えて次期社長に指名されたと思うので、その思いをしっかりと受け止め、覚悟を持って(社長職を)お受けしたい」と決意を語った。
併せて、「かんぽ生命の再生・成長は日本郵便との強固な協力関係なしには実現できない。(かんぽ生命の)谷垣邦夫次期社長とともに、これまでの協力関係をさらに進め、お客様に喜んでいただけるサービスをご提供してまいりたい」と説明。郵便局での金融サービス提供の面で引き続きかんぽ生命と連携していくことに強い意欲を見せた。
さらに、「日本郵便においては金融分野だけではなく、郵便・物流全体の課題も多く、厳しい競争環境にあると承知している。かんぽ生命で行ってきたように、郵便局を回り、社員との対話を通じて課題を解決していく。組織風土改革、コミュニケーション改革に全力で取り組んでまいりたい」と強調した。
会見に臨む千田次期社長
千田氏は経済産業省と中小企業庁が下請中小企業振興法に基づいて主要企業を実施した調査結果で、日本郵便は業務委託先企業との取引価格へのコスト上昇分転嫁の度合いが最低評価となったことに関し「今回のお話は郵政グループ全体にとっても大変重大な課題だと認識している。様々な方々との協力関係の中でわれわれのビジネスは成り立っている。そういう意味では、しっかりとWin-Winになるような体制を作っていかなければいけない」と述べ、取引価格の適正化へ委託先企業と協議を継続する姿勢をアピールした。
トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」への具体的な対応を問われたのに対しては「実態や課題をまだしっかりと勉強できていない。法令とかサービスレベルの問題もあり、いろんな解決方策が考えられるだろうと思っているので、余談なく判断して(問題を)動かしていきたい」と述べるにとどめた。
会見には6月に退任する予定の日本郵便の衣川和秀社長と、かんぽ生命の谷垣次期社長(現ゆうちょ銀行副社長)も同席した。衣川氏は社長を退く理由について「65歳は年齢的にも節目の年だろうと考えており、今年度が中期経営計画の見直しの年でもあることを考慮した」と説明。
就任から約3年の間に起きたかんぽ生命の保険商品不正販売問題への対応などを振り返り「社長就任以来、最大の課題はお客様の信頼回復や社風改革だった。道半ばではあるが、土台の構築は一定程度できたのではないか」と語った。
衣川氏
谷垣氏は「現経営陣の改革路線を引き継ぎ、グループ各社との連携協力を深め、お客様かの信頼を回復し、かんぽ再生に全力を挙げて取り組む所存だ」と抱負を述べた。
谷垣氏
(藤原秀行)