【現地取材】大和ハウス、千葉・流山で物流施設4棟・73万㎡超開発の大規模プロジェクトが完成★続報

【現地取材】大和ハウス、千葉・流山で物流施設4棟・73万㎡超開発の大規模プロジェクトが完成★続報

7年越しで達成、いずれも満床

大和ハウス工業は4月24日、千葉県流山市で2016 年7月から進めてきた、大規模なマルチテナント型物流施設4棟を1つのエリアで集中的に開発する「DPL流山プロジェクト」が完成を迎えたと発表した。

4棟目の「DPL流山Ⅱ」が4月28日に竣工。4棟で総延床面積は東京ドーム約15個分に相当する73万7346㎡に達した。同社過去最大で、国内でも異例の大規模な開発プロジェクトが無事終了することとなった。

「DPL流山Ⅱ」は地上4階建て、延床面積は14万453㎡。最大12テナントが使える設計を採用している。

DPL流山プロジェクトの4棟はいずれも満床となっている。これまでに完成した3棟はアマゾンジャパンなどが入居しており、4棟目の「DPL流山Ⅱ」はユニクロを展開するファーストリテイリング、EC事業者の大和心(やまとごころ)など3社が利用することが確定している。


DPL流山プロジェクトの全景。(左から)「DPL流山Ⅰ」、最後に完成を迎える「DPL流山Ⅱ」、「DPL流山Ⅲ」、「DPL流山Ⅳ」

「DPL流山プロジェクト」のうち、2021年10月に完成した「DPL流山Ⅳ」は同社としては過去最大の延床面積約32万㎡に及ぶなど、4棟のいずれも10万㎡を上回っている。

4棟は従業員の働き方改革の支援として、テナント企業の従業員専用の保育施設やカフェテリアなどを完備。免震システムを採用したり、非常用発電機や防災備蓄倉庫、マンホールトイレなどを設置したりするなど、BCP対応として防災にも配慮している。

併せて、4棟の全てに太陽光発電システムを搭載、環境負荷低減に努めている。4棟の物流施設が連なる「DPL流山プロジェクト」の一体感が出るよう、随所に「サクラ並木ゾーン」や「ツツジ・メタセコイア並木ゾーン」などを設置。さらに、1年を通して従業員や地域住民が花や草木を楽しめるよう、植栽にも注力している。

都心から25km圏内で、常磐自動車道の流山ICから約2.5km、首都高速6号三郷線・常磐自動車道の三郷ICから約6.6kmと首都圏をはじめ、東日本全域までアクセスが良好な場所に位置。首都圏向け物流の集約拠点や中継物流施設に加え、世界中からの輸出入に対応できる次世代物流施設としても利用可能にしている。

大和ハウスが地元の流山市と災害時の協力協定を締結したり、地域の「子ども食堂」と連携したりするなど、地域との共生に向けた取り組みも推進している。

最後に竣工する「DPL流山Ⅱ」は、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」を考慮し、来場したドライバーが休憩できる「ドライバーステーション」を新設。大和ハウスグループで企業内保育施設の運営などを手掛けるままスクエアが従業員向けの保育施設を展開。今後は新たに、放課後の小学生を預かるアフタースクールや、厨房を使って調理する食育を行うことも視野に入れている。

壁面は、空との一体感を醸し出せるよう、上階になるにつれて明るいグラデーションにするとともに、らせん状のランプウェイなどにルーバー(鎧戸)を設置することで、大型物流施設の圧迫感を緩和。メインエントランスには、物流施設建設時の残土を使用した「塗り版築(ぬりはんちく)」を土壁に用いて、循環型の「サーキュラーエコノミー」創出に腐心した。

施設内のカフェテリアは4階に設け、ガラス張りの出窓を設置して富士山や都心の高層ビルなどの眺望を楽しめる空間を創出。リラックスできる環境の整備を図っている。

4色の色を用いてゾーン分けを行ったり、円をモチーフとした当施設オリジナルピクトグラムをデザインしたりするなど、誰にでも分かりやすいサインを採用。24時間営業の無人コンビニエンスストアも取り入れている。

このほか、「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)」に配慮し、男性トイレ・女性トイレに加えて、誰でも利用できるオールジェンダートイレも設置している。


位置図


並木ゾーン


「四季のにわ」


「DPL流山Ⅱ」外観


メインエントランス(塗り版築)


保育施設(イメージ)


オリジナルサイン(ここまで全て大和ハウス工業提供)

大和ハウスが同日、「DPL流山Ⅱ」施設内で開設した竣工の記念式典で、地元流山市の井崎義治市長は「DPL流山シリーズの物流施設建設に当たり、子育て世代のニーズに対応した事業所内保育施設の整備、災害発生の早期復旧を可能とする免振システム導入、環境や景観に配慮した多数の植樹を実施していただくなど、様々な点に配慮いただき、心より感謝申し上げる。自然環境や地域と調和したDPL流山シリーズの運営を通じ、今後とも『都心から一番近い森のまち』・流山市の発展にご協力賜りたい」とあいさつ。

同社の更科雅俊執行役員東京支店長は「(プロジェクトの)4棟全てが揃い、全て満床でお使いいただくことになった。『DPL流山Ⅱ』は1棟目、2棟目、3棟目それぞれの良いところをミックスして、改善に改善を加え、使い勝手が良く地域の皆様に愛される施設にするということを考えながらスタッフ一同、一丸となって開発してきた。皆様に愛される施設づくり、運営をこれからも続けていきたい」と語った。


竣工記念のセレモニーに参加した(前段左から)大和ハウス工業・更科執行役員、浦川竜哉常務執行役員、流山市・井崎市長


「DPL流山Ⅱ」の庫内スペース


エントランスの独特なサイン


ドライバーステーション


免震装置

「DPL流山Ⅱ」建物概要
名 称 :「DPL流山Ⅱ」
所 在 地 :千葉県流山市西深井字種井下 1378-1 他
交 通 :常磐自動車道「流山インターチェンジ」より約 2.5km
敷地面積 :60,662.28 ㎡
建築面積 :35,755.20 ㎡
延床面積 :140,453.05 ㎡
賃貸面積 :111,211.41 ㎡
(最大12テナント、1 区画の面積約 6,100 ㎡~、1 フロア延床面積約 25,000 ㎡~)
構造・規模 :プレキャスト・プレストレストコンクリート造一部鉄骨造・免震構造
地上 4 階建て
建物用途 :マルチテナント型物流施設
建 築 主 :株式会社流山共同開発
総合計画 :大和ハウス工業株式会社 東京本店建築事業部
デザイン監修 :大和ハウス工業株式会社 東京企画開発設計部
設 計 :株式会社フクダ・アンド・パートナーズ
施 工 :西松建設株式会社
着 工 日 :2021 年 8 月 20 日
竣 工 日 :2023 年 4 月 28 日
稼働開始日 :2023 年 5 月 1 日

「DPL流山プロジェクト」

施設名 敷地面積 延床面積 賃貸面積 構造・規模 主な施設・設備 着工
建物稼働
DPL 流山Ⅰ 66,580 ㎡ 151,368 ㎡ 144,003 ㎡ PCaPC 造一部 S 造・免震構造
地上 4 階建て
カフェテリア・保育施設・コンビニエンスストア・非常用発電機
2016 年 7 月
2018 年 4 月
DPL 流山Ⅱ 60,662 ㎡ 140,453 ㎡ 111,211 ㎡ カフェテリア・保育施設・無人コンビニエンスストア・防災備蓄倉庫、マンホールトイレ・かまどベンチ・非常用発電機 2021 年 8 月
2023 年 5 月
DPL 流山Ⅲ 53,937 ㎡ 122,064 ㎡ 102,444 ㎡ RC+S 造一部 S 造・耐震構造
地上 4 階建て
カフェテリア・保育施設・コンビニエンスストア・非常用発電機
2019 年 4 月
2020 年 10 月
DPL 流山Ⅳ 135,537 ㎡ 323,461 ㎡ 263,012 ㎡ PCaPC 造一部 S 造・免震構造
地上 5 階建て
カフェテリア・保育施設・コンビニエンスストア・防災備蓄倉庫・マンホールトイレ・かまどベンチ・非常用自電機
2019 年 9 月
2021 年 11 月
DPL 流山プロジェクト全体 316,716 ㎡ 737,346 ㎡ 620,670 ㎡

(藤原秀行)※いずれも大和ハウス工業提供

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