大気中からの直接回収など革新的技術対象、脱炭素促進図る
三菱商事は4月26日、カーボンクレジット(CO2排出枠)売買仲介で世界最大手、スイスのSouth Pole(サウスポール)と大気中のCO2除去に関する革新的な技術(技術系CDR)の普及・促進に向け、新たな合弁会社「NextGen CDR Facility」(ネクストジェンCDRファシリティ)を設立したと発表した。
NextGenは国際的な品質基準「ICROA」に準拠した高品質な技術系CDR由来のカーボンクレジットを扱い、クレジットの買い手と売り手(プロジェクト)を仲介することで排出枠取引の基盤を構築、脱炭素を加速させたい考え。
NextGenの仲介でカーボンクレジットの購入を目指す「バイヤー」に名乗りを上げているのは商船三井、米ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)など。
NextGenは海外の3つのプロジェクトから世界最大規模となる累計約20万tの技術系CDR由来のカーボンクレジット長期購入契約を締結した。2025年までに累計100万t以上の技術系CDRクレジット購入を目指す。
NextGenが技術系CDRクレジットの長期購入契約を締結したプロジェクトは、米Summit Carbon Solutions(サミット・カーボン・ソリューションズ)が推進する世界最大級のBiomass Carbon Removal and Storage (BiCRS、バイオマス炭素除去・貯蔵技術)、米1Point Five(ワンポイントファイブ)が進める世界最大級のDirect Air Capture and Storage (DACS、空気中からの直接回収技術)、フィンランドのCarbo Culture(カーボカルチャー)が担っているバイオ炭(高温でバイオマスを炭化し炭素を固定する技術)。
クレジットの目標平均価格を市場価格比競争力のある1t当たり200ドル(約2万7000円)に設定。企業が長期的に技術系CDRクレジットを調達できるモデルを導入することで、より多くの買い手が市場にアクセスしやすくなる仕組みを確立したい考え。
NextGen CDR Facilityの概要
Summit Carbon Solutions
Carbo Culture
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用