委託側企業の不当な報酬減額や成果物受領拒否など禁止
配達員やエンジニア、コンサルタントなど組織に属さず個人として働く人たちを保護する「フリーランス・事業者間取引適正化法」が4月28日、参議院本会議で可決、成立した。
フリーランスへ業務を委託する企業に対して仕事内容や報酬額を事前に明示するとともに確実かつ迅速に報酬を支払うよう義務付けることなどが柱。立場が弱くなりがちなフリーランスが問題なく働ける環境の整備を後押しする。
政府は2024年秋までの施行を目指す。
新法は企業に対し、フリーランスに業務を委託する際、仕事の内容や報酬の額と支払期日などを書面や電子データで明示するとともに、委託した業務の完了から60日以内に報酬を支払うよう定めている。
併せて、一定期間以上の業務委託をする場合、企業が正当な理由なく報酬を減らしたり成果物の納品を拒んだりするのを禁止。相場に比べて著しく安い報酬を設定するのも禁じている。違反した場合は業務を受託したフリーランス側が公正取引委員会や中小企業庁に適切な措置を講じるよう求めることが可能。
公取委や中企庁が企業に立ち入り検査をしたり、公取委が是正命令を出したりできることなどを規定、企業が従わなければ50万円以下の罰金を科す。
さらに、業務委託を募集する際の広告は虚偽の情報を掲載したり紛らわしい表示をしたりしないよう要求。フリーランスが働く際、妊娠・出産・育児・介護をすることにも配慮するよう定めている。業務委託時に企業が虚偽広告による募集などをしていた場合は厚生労働大臣が是正を勧告、命令できる。
(藤原秀行)