東京23区中心に展開、今後は関西でも実施
ニトリホールディングス(HD)は5月9日、2023年3月期連結決算を開示した。
この中で、24年3月期のニトリ国内事業の重点課題として提示した経費対策の中に、名古屋と埼玉・幸手の物流拠点竣工、配送拠点再配置による配送効率改善、ワンマン配送エリアの拡大を挙げている。
物流施設配置に関しては、既に全国で新設する方針を表明しており、その一環として昨年5月に竣工した北海道石狩市の「石狩DC」が同年9月、北海道内への商品供給を開始したほか、同年11月完成の「神戸DC」(神戸市)は今年3月、関西圏への商品供給をスタートしたと説明している。
昨年7月には名古屋市で「名古屋DC」、同年8月には埼玉県幸手市で「幸手DC」の工事をそれぞれ開始、2023年度以降の稼働を計画していると解説している。
ワンマン配送については、既に東京23区を中心としたエリアで始めており、今後は関西圏にも拡大、物流コストの抑制と配送の効率化を推進していることを発表している。
一方、21年に買収した島忠の事業でも、ニトリグループの配送網を活用することで、全国一律料金での配送が可能になったと成果をアピールしている。
ニトリHDの23年3月期連結決算では、経常利益ベースで、荒利益高が前期より901億円増えたものの、円安による仕入れ・在庫のコスト増で381億円、貿易関連費用などの高騰で164億円、人件費で107億円、物流コスト上昇などで45億円がそれぞれ減り、トータルでは1440億円と前期から1.6%の増加にとどまった。
決算期の変更で23年3月期は22年2月~23年3月の13カ月余りの決算だったことを考慮すると、ほぼ横ばい圏内だった。各種コストアップがニトリHDの収益を直撃していることを如実に示した。
販管費のうち、発送配達費は51.3%増の379億円と大きく膨らんでいるが、会計方針の変更に伴う影響が120億円含まれているため、この影響を取り除くと、やはりほぼ横ばい圏内だったとみられ、発送配達費が高止まりしていたことがうかがえた。
(藤原秀行)