政府、荷待ち・荷役作業など「原則2時間以内」ルールを提唱へ★続報

政府、荷待ち・荷役作業など「原則2時間以内」ルールを提唱へ★続報

官民検討会で原案、統括管理者選任も

国土交通、経済産業、農林水産の3省は5月19日に開催した「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者が取り組むべき事項」の原案を提示した。

同検討会で新たな法的規制など、今後取り組むべき方策を盛り込んだ意見を6月にも正式に取りまとめるのを前に、政府として現状可能な施策を提示し、関係事業者に実施を要請していくのが狙い。

この中で「荷主事業者は、荷待ち、荷役作業等にかかる時間を原則として約2時間以内とする」ことを自発的なルールにして、順守を求めていくことを打ち出した。

他にも、荷主事業者に対し、物流の適正化・生産性向上の取り組みを企業内で総合的に推進するため、物流業務の実施を統括管理する役員らを選任することなどを列挙している。

政府は同検討会の意見を踏まえ、関係省庁で調整した上で内容を正式に決定、公表する見通し。法律の作成などは時間を要するため、現行体制でも取り組める方策を列挙し、トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」など諸課題への対応を急ぐ。

法令順守を再度徹底

原案は、物流業務の効率化・合理化、運送契約の適正化、輸送・荷役作業等の安全確保の3項目で、発荷主と着荷主の双方、発荷主、着荷主の3パターンでそれぞれ共通して実施が必要な事項、実施が推奨される事項を盛り込んだ。

このうち、着・発荷主の双方が共通して実施が必要な事項として、荷主事業者は入出荷の際に荷待ち時間や荷役作業などに要する時間を把握した上で「荷待ち、荷役作業等にかかる時間を原則として約2時間以内とする」ルールにすることを提唱。既に2時間以内となっている場合は、短縮の目標時間を定めてさらに取り組むことを提唱している。

また、「物流の適正化・生産性向上の取り組みを事業者内において総合的に実施するため、物流業務の実施を統括管理する者(役員等)を選任する」と明記。同協議会の「最終取りまとめ」で新たな法規制を検討するよう求める方向となっているのに備える意味も持たせている。

また、物流事業者に対して、運送契約にない荷役作業をさせないことや、燃料サーチャージの導入に関して相談があった場合や燃料費上昇分を運賃・料金に反映させるよう要請があった場合は協議に応じるよう求めている。

実施を推奨する事項としては、トラック予約受付システムの導入、パレットの活用、物流システムや資機材の標準化、共同輸配送の推進などを挙げている。

発荷主側には出荷に合わせた生産・荷造りや運送を考慮した出荷予定時刻の制定など、着荷主側には納品リードタイムの確保などを要望している。

一方、物流事業者にも、生産性向上のための業務改善を進めるとともに、長時間労働抑制へ仕事の依頼を受ける際に労働基準法といった法令を順守できるかどうか確認することや、荷主に対して必要なコスト負担を申し入れ協議することなどを記している。既に法令で定められていたり、以前から物流業界で取り組むべき課題と提唱されていたりする事項について、再度政府が呼び掛けていく内容となっている。

この日の検討会では出席者から、物流管理統括者は「役員等」ではなく、様々な部署との調整や意思決定の権限を持つ「役員相当者」とすべきだといった意見が出た。

(藤原秀行)

原案はコチラから(経産省ホームページ)

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