G7広島サミット、「重要鉱物や半導体、蓄電池などのサプライチェーン強化」の決意表明

G7広島サミット、「重要鉱物や半導体、蓄電池などのサプライチェーン強化」の決意表明

経済安全保障で初の首脳声明

主要7カ国首脳会議(G7広島サミット)は5月20日、「経済的強靭性および経済安全保障に関する首脳声明」をまとめた。

この中で、G7が他の諸国と連携し、「経済的威圧行為」に対抗していく姿勢を強調。新型コロナウイルス感染拡大やロシアのウクライナ侵攻で明らかになった世界のサプライチェーンの脆弱性を克服し、「特に重要鉱物、半導体および蓄電池などの重要物資について、世界中のパートナーシップを通じて、強靱なサプライチェーンを強化していく」との決意を表明した。

経済の側面で国や国民をさまざまな脅威から守る「経済安全保障」の確保に向けた取り組みに関して合意内容を盛り込んだ。G7が経済安全保障に特化して協議、共同の文書を公表したのは初めてという。


経済安全保障について討議するG7首脳(外務省ホームページより引用)

声明は現下の情勢について「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染拡大)およびロシアによるウクライナに対する侵略戦争は、世界中の国々のサプライチェーンの脆弱性をむき出しにした。サプライチェーンの混乱は、開発途上、新興、先進エコノミーに同じように壊滅的な打撃を与えている」との問題意識を表明。

「われわれは透明性、多様性、安全性、持続可能性、信頼性が、G7内外の信頼できるパートナー国との間での強靱なサプライチェーンネットワークを構築・強化するに当たり不可欠な原則であることを認識する。われわれは全ての国に対し、これらの『強靱で信頼性のあるサプライチェーンに関する原則』を支持することを奨励する」と呼び掛けた。

さらに、「世界は、経済的脆弱性および経済的依存関係を悪用し、G7メンバーや世界中のパートナーの外交政策および国内政策ならびにその立場を損なうことを企図する経済的威圧の事案の憂慮すべき増加に直面している」と指摘。

「世界の安全および安定を損なう経済的威圧について、深刻な懸念を表明し、全ての国に対してその使用を控えるよう求める。われわれは、それぞれの国内において、威圧的な経済的手段の使用を抑止しそれに対抗するため、既存の手段を活用し、その効果を検証していくとともに、必要に応じて新たな手段を開発していく」との意向を明言した。中国やロシアを念頭に置き、くぎを刺したものとみられる。

その上で、各国が経済的威圧に関して情報共有し、迅速に対応できる仕組み「調整プラットフォーム」を創設することに言及した。

また、「デュアルユース(軍事転用が可能な)技術を保護するためのわれわれのエコシステムに存在するギャップが悪用されないよう、輸出管理分野における協力のための多国間での取り組みをさらに強化していく」と説明。中国やロシアを念頭に置き、先端技術の軍事利用に歯止めを掛けるため連携する重要視を強調した。

(藤原秀行)

首脳声明はコチラから(外務省ホームページ)

政策カテゴリの最新記事