環境負荷低い航空燃料SAF、「2030年に供給の10%」を石油元請けに義務付け

環境負荷低い航空燃料SAF、「2030年に供給の10%」を石油元請けに義務付け

政府の官民協議会で経産・国交省が提案、支援策も

経済産業省資源エネルギー庁と国土交通省は5月26日に開催した環境負荷が低い航空燃料「SAF」の普及支援策を協議する「持続可能な航空燃料(SAF)の導入促進に向けた官民協議会」の会合で、これまでの議論を踏まえた中間取りまとめ案を提示した。

この中で、石油の元売りに対し、エネルギー供給構造高度化法に基づいて2030年に日本の空港で国内外の航空会社に供給する航空燃料の10%をSAFとするよう義務付けることを盛り込んだ。政府の目標と足並みを合わせる形で新たな規制を設け、SAFの安定供給を図ることで航空領域の脱炭素化を加速させるのが狙い。

守れない場合に政府が元売りに改善を勧告したり、社名を公表したり、罰則を科したりできるようにすることも検討する。

併せて、改正航空法に則り政府が昨年12月に示した「航空脱炭素化推進基本方針」で30年に航空燃料全体の10%をSAFに置き換える方針を打ち出しているのに沿って、航空会社が国交省に出す脱炭素化推進計画でも同じく航空燃料の10%を2030年にSAFとすることを記すよう求めていく方針。

会合で中間取りまとめは了承された。エネ庁は今後、2023年度中をめどにエネ高度化法で定める事業者の判断基準を改正したい考え。

併せて、中間取りまとめは石油元売りなどの支援策も作成。海外からSAF原料の食物などを調達するサプライチェーンの構築支援、生産者への税減免、藻類やごみなど「非可食由来」のSAFに関する技術開発を後押しすることを列挙した。

会合ではまた、SAFの基となる廃食油は現在、海外にいったん輸出された後に原料として作られた割高なものを輸入しているケースが多いことなどから、エネ庁と国交省、農林水産省、環境省が連携し、2023年中をめどにSAF用原料の国内調達比率向上のための取り組みを具体的なアクションプラン(行動計画)として取りまとめることでも一致した。

(藤原秀行)

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