海外展開は東アジアや欧州を視野
物流業務効率化の新技術開発に取り組むスタートアップ企業GROUND(東京)の宮田啓友代表取締役CEO(最高経営責任者)は8月1日、官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)などからの計17・1億円の資金調達完了に関する記者発表会の席上、複数の荷主企業などが物流施設内でロボットを共有する「ロボットシェアリング」の早期実現にあらためて強い意欲を示した。
海外事業に関しては、経済成長が続く東アジアに加え、日本と同じような課題を抱えている欧州でも展開していきたいとの意向を示した。
記者発表会で事業の展望などを語る宮田氏
宮田氏は、GROUNDの事業として「物流施設の最適化にフォーカスしている。最終的なラストワンマイル配送最適化にとって最も重要なのが物流データ。物流施設からどれくらい物量が供給されているのか、情報が分断されている。そうした情報をある程度蓄積、解析することで最終的に配送効率を抜本的に挙げることが可能」と狙いを説明。
自社で開発を進めてきた、物流施設内で人間のピッキング作業を支援する自律型協働ロボット「AMR」を初めて納入すると発表したことなどに言及した上で、「ロボットをCAPEX(設備投資)からOPEX(運用費用)として利用できる環境にしていくことが求められている」と語った。
その狙いとして「AMRは持ち運びできる上、エレベーターと同期すれば違うフロア間で自動的に移動することも可能になる。荷主間でロボットをシェアすることにより相互に無駄をなくし、使った分だけコストを負担いただくことが考えられる」と解説。
「物流ロボットのライフサイクルはそんなに長くない。技術の進展が非常に早いところで開発競争が進んでいるので、3~5年というのが1つの目安。セカンドマーケットを造りながら、長い期間複数の荷主の中で(固定費として投資するのではなく)常に最新のロボットを使ってもらえる環境を目指す」と述べ、ユーザーの初期投資軽減に大きな意義があるとの持論を展開した。
今後の物流業界の動向については「一番大きく変わっていくのが3PL業界。いかにわれわれのようなソリューションを使っていくかが重要になってくる。エンジニアリング能力とかロボットをチューニングしていくとか、抜本的に求められるスキルセットが大きく変わっていく。こうした人材を育てていかないといけない」と指摘。3PL事業者の変革もサポートしていく構えを見せた。
(藤原秀行)